第1日目の講演1~3においては、マイクロバブルの基礎知識とマイクロバブルおよびマイクロバブル水の物理化学的特性を解説しました。
これらを踏まえて、今度は具体的な実践事例の紹介がなされました。
その第1は、農業利用分野に関することでした。最近の事例を紹介する前に、この分野の研究の先駆けとなった次の2つの実験結果が示されました。
①巨大ホテイアオイ
T高専の前庭の池で育てたホテイアオイの背丈が1m近くにもあり、見学者たちを驚かせていました。
その特徴は、1)背丈が1m近くになって巨大化した、2)根の成長が著しく、その数が大量で長い、3)高密度な栽培においてもいずれもが成長を遂げていたことにありました。
これには、きっとマイクロバブルに関する機密情報が隠されているのではないかと推測し、マイクロバブルを用いた植物研究を継続するきっかけとなりました。
後に、これを「マイクロバブルの植物活性」と呼ぶようになりました。
手前が通常のホテイアオイ、後ろの水槽がマイクロバブル育ちのホテイアオイ、水は上と下で循環されている。
②肥料なしで育ったウコン
これもT高専時代の卒業研究で行った研究であり、ウコンを水耕栽培を行いました。その際、肥料を一切与えないで水道水とマイクロバブルのみで育ててみようという無茶苦茶な栽培を行うことにしました。
しかし、この時の卒業研究性のSさんは、むしろそれを嬉しがり、しっかり世話をしてくださいました。
その結果、茎長が160cmの立派な葉と茎が茂り、大きなウコンの根も形成されました。
これらの実験によって、次の仮説の設定が可能になりました。
(1)マイクロバブルの発生によって、植物を活性化させ、成長を促進させる物質が生成される。
(2)その活性化および成長促進を実現させる物質は肥料に相当する。
その後、この仮説を検証するための実験が継続していること、そして、その対象分野も広く拡大してきたことも紹介されました。
また、これらは、これまでの植物工場の問題にも深く関係することから、まず、今日の植物工場の問題を解明することにしました。
つい最近、日本経済新聞において(2017年4月21日)、植物工場における固定資産税が問題になっていて、その規制緩和が検討されていることが示されていました。
また、同時に現在の植物工場の深刻な状況も紹介されていて、それによれば、その植物工場における経営が赤字か、利益なしが、じつに80%を超えていました。
相変わらず、深刻な状況がこの数字からも示されていて、この根本的なブレイクスルーが求められています。
この現状を踏まえ、これまでの植物工場のあり方を根本から見直す必要があることを次のように指摘しました。
①大規模化しないと利潤を上げられないという「指向」から脱却する。
②露地栽培と比較して、単価、おいしさ、新鮮さ、生産性において劣る、これまでの水耕栽培技術から脱却して、それらを上回る新技術をr適用する。
③無農薬水耕栽培を実現し、無農薬栽培野菜の重要性、味、安全性を再確認する。
④だれもが簡単に栽培できる技術を開発し、とくに、小規模であっても、短期間で採算性を確保できる植物工場の栽培システムを開発する。
講演では、これらの解決すべき課題が詳しく検討され、それを踏まえて、実際の講演においては、3つのタイプの小型野菜栽培装置のモデルが示されました。
また、その生産性および採算性も具体的に検討されました(つづく)。
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