先月下旬、地元の方から七島イの苗が、かなりの数届きました。

 その苗は田植えで残った分でしたが、その多さに吃驚しました。

 その苗を観察すると、茎の長さは30㎝前後、一回に植える苗の数は2~4本で、その根は洗われて土がほぼ落とされていました。

 さて、これをどうするか。

 これだけのものを育てるには、専用の大きな水路が必要ですが、それを作るとしても、すぐには間に合いませんので、現在使用している水槽になかに、いわゆる鮨詰め状態にして入れるしかないという判断を下しました。

 これに近い苗を前にもいただいたことがあったのですが、その場合は、すでに苗に腐敗臭がしていて、すぐにマイクロバブル水槽に入れたのですが、その処置がまずく結果的に蘇生させることはできませんでした。

 今回の苗は、その腐敗臭を漂わせるほどではありませんでしたが、入植前にきちんと処理をしないと、そのうち前回と同じ結果に終わってしまう恐れがありました。

 そこで、以下の気の遠くなるような作業を行うことにしました。

 ①苗には、わずかでも土の成分が付着していると、そこに嫌気性菌が湧いてきて、苗を腐らせてしまう原因になりますので、この成分をきれいに水で洗い落とす。

 ②茎の下部に形成されている葉っぱの変色部分を除去する。

 ③古い根を取り去り、新しい根も半分程度で切り、いわゆる根切を行う。

 ④茎の長さは15㎝程度に切りそろえて、根に過度な負担をかけないようにする。

 ⑤最後に苗全体をきれいに洗う。

 この作業を黙々とこなしていくのですから、これは写経をするような辛抱強さを養うにふさわしい修行といってもよいでしょう。

 いつの間にか、朝飯前に、この作業を行うのが日課となり、家族も加わっての共同作業となっていきました。

 おかげで朝から手足を動かす農作業を行うことができ、身体の健康にもよい効果がもたらされているような気がしています。

 「朝飯前の人仕事は、ここちよいね!」

 「そうですよ、これは健康によく、朝ごはんも押しくなりますよ」

 「そうだね、これも七島イのおかげだよ!」

 「七島イに感謝しなければいけませんよ」


 こうして朝飯前の苗づくり作業がいつの間にか、私どもの日課になりました。

 今朝は、その作業が始まって1週間が過ぎた頃でしょうか、多かった苗の数も、バケツ2杯程度にまでに減ってきました。

 頑張れば、残り1日か2日というところでしょうか。

 そう思うと、なんだかうれしくなりますね。

 農作業においては、こうのように粘りを発揮して、最後にはやり遂げるという力が求められます。

 苗も洗い、そして心も洗う、文字通りの「洗練の作業」といえますね。

 そして、問題は、この作業は梅雨までの束の間の「その場しのぎ」的なものであり、その到来までに次の一手を講じる必要があります。

 その一番の対策は、新たに専用の水路を製作することですが、それが間に合うかどうか。

 しかも、この水路には屋根が必要であり、その手配と製作も同時に行うことになりますので、ちょっとした一大作業になります。

 近々、これを、みんなに諮って、どうするかを検討したいと思います。

 この大型屋根ができあがると、わが家の中庭は、かつての「中庭にリビングがある家」から「中庭に植物工場がある家」に完全に変化してしまいます。

 おまけに、これが完成すると雨に濡れずに、すぐ前の会社まで行くことができます。

 変われば変わるものですね。

 おかげで、私は、この植物工場を通して、地域の再生問題、日本と世界の食料問題を考えることができます。

 その意味で、この緑砦館(りょくさいかん、Green Fort House)は、貴重な研究の砦になっていくことになるでしょう(つづく)。

kagahu20170531
                    加賀太キュウリの芽が出てきました