久しぶりの入浴編です。

 書くことが多岐にわたると(もっと正確にいえば、気持ちが多いと)、どこかに皺寄(しわよ)せが出てしまいます。

 それでも、この記事を書く気になったのには、ある特別の事情があります。

 その事情とは、わが家を建てていただいた建築家のYさんから、次の著作を紹介していただいたからです。

 『10倍売る人の文章術』 PHP

 著者は、全米No.1のセールスライターといわれているジョセフ・シュガーマンです。

 英文のタイトルは、Advertising Secrets of the Written Word です。

 丁度、このような本を求めていたといいますか、勉強しなければならないと思っていましたので、真に時を得たYさんの示唆となりました。

 というのも、マーケティング論については、まったく勉強したことがなく、見様見真似の経験主義が罷(まか)り通っていました。

 たとえば、ずぶの素人が会社紹介のパンフレットを作成するとしましょう。あれや、これやと思い悩んだ挙句に、やっとこさの思いで、それができたとしましょう。 

 しかし、そこにはプロが磨き上げたセオリーが貫かれていないことから、それは「ただ眺めて終わり」という運命を辿ることになります。

 それどころか、それが、やってはいけないことを、ふんだんに散りばめ、それでよいと思っているのであれば、なおさら、その悲劇性は強まるばかりです。

 目から鱗が落ちるとは、このことでしょうか。

 
それは、具体的にはどんなことなのか、その内幕を披露することには、かなりの恥ずかしさを覚えますが、それは仕方のないことですので、少しばかり、大切なところを明らかにしておきましょう。

 商品の宣伝をする際に最も大切なところは、その第1センテンスです。新聞記事でいえば1面トップの大見出しに相当する部分です。

 これを示すために、熟慮に熟慮を重ね、無い知恵を絞って、そのセンテンスを考えたはずです。

 しかし、その言葉を示すことには必ず重要な目的があるはずですから、これを明確に示すことが必要になります。

 私の場合は、その商品を体現した、それにふさわしい文章をひねり出すことを、その目的にしていました。

 じつは、それがまったくの、そして根本的な誤りであることを思い知らされました。

 しかも、その商品を丁寧に説明しようとしたために、必然的に長い文章になってしまいました。これも大きな誤りでした。

 それでは、筆者は、この第1センテンスの目的を、どのように教示したのでしょうか。

 それは簡単で、第1センテンスの目的は、第2センテンスを読ませることにあると明察されていました。

  そして、このセンテンスは短ければ短いほどよいとも強調されていました。

 
これに照らし合わせると、私の場合は、その第1センテンスにおいて、次のセンテンスのことを考慮しておらず、商品全体を表すような言葉を使用していました。

 しかも、それが長ったらしく、二重の誤りを犯していました。

 それでは、第2センテンスの目的は何か?

 かれによれば、それは第3センテンスを読ませるものであり、次のセンテンスも同じあると続いていました。

 結果的に、これが実現すれば、最初のセンテンスから最後まで、興味を持ってすべて読んでいくということになり、それを読み進めるうちに、その商品のことをよく知ることになります。

 シュガーマンは、このことを「滑り台効果」と称していました。

 「すべての要素に説得力があるので、読者はいつの間にか滑り台を滑り落ち、最後まで止まることができない」

 ということのようです。

 その各パートの文章には、それぞれ役割があるようで、次のように区別されていました。

 キャッチコピー
    ↓
   リード
    ↓
   コピー
    ↓
  購買決定


 それぞれに説得力を持たせ、魅力を備えて読み進むことができるようにする、その滑り台効果で、最後には購買決定に至らしめる、私は、このようなセオリーがあることを、恥ずかしくも知りませんでした。

 また、このような意味付けがあることを認識しておれば、これに沿って文書を書けばよいことを学ぶこともできました。

 こうして、大変学びあがいのあることがたくさん書かれていましたので、私は、これをマイクロバブル風呂に持ち込み、ゆっくりと読み進めることにしました。

 これは、じつにゆかいな読書となりました。

 しかし、この読書は入浴直後に行わないといけません。

 それは、マイクロバブル風呂と読書内容の「ここちよさ」の相乗効果のために、すぐに眠くなってしまうからでした。

 こんなときは、すぐに読書を中断し、そのここちよさを睡魔に委ね、しばらくうっとりしてから、再び読書を続ける、そして考える、この頭の体操がよいのではないかと思って、それを楽しんでいます。

 この「文章術」の本、恐るべき内容を有していると思いました。

 建築家のYさん、本当にありがとうございました。

 おかげで、広告宣伝に関する「秘密」を少し学ぶことができました(つづく)。

hana-22
                         裏庭に咲いていた花