少し間が空きましたが、記念記事の2回目を書かせていただきます。
前回の記事において紹介したPFさんは、かつてマイクロバブル装置を使っていたことがあったそうです。
近頃では、マイクロバブル装置といっても、いろいろな装置があるようで、それは「加圧溶解式」と呼ばれる装置だったそうです。
この装置が、ある分野に持ちこまれ、まことしやかに宣伝されていました。
それは、「マイクロバブルが圧壊する」際に発生する「衝撃波」のような作用で、毛穴の隅々まで洗浄されるというものでした。
技術の生成期においては、さまざまな見解が入り乱れ、錯綜して、社会の一部に混乱が生まれることがあります。
「マイクロバブルが圧壊する」ことについては、超音波で発生する現象を機械的に、さもありうるように説明しただけであり、「圧壊」現象が科学的にきちんと示されたことは未だにありません。
マイクロバブルは圧壊せず、収縮して溶解していくのみであり、これが私の観察結果において科学的に観察された現象でした。
このことは、昨年12月に開催されたマイクロ・ナノバブル学会においても質問をさせていただきました。
「あなたは、マイクロバブルが圧潰するという見解を示されましたが、それは、どのような科学的データを踏まえて、そう仰れているのですか。そのきちんとしたデータや根拠がありましたら、教えてください」
こう尋ねると、この講演者は、それに対して何も答えることができませんでした。
さて、その圧壊現象は、実際に見出され、検証されてはいないのですから、それで衝撃波が発生することもありません。
ところが、上記のような非科学的説明が流布し、横行してしまうのは、なぜでしょうか。
ここには、科学をイデオロギーとして把握しやすい日本人的特質があることを指摘せざるをえません。
これは、マイクロバブルよりも「ナノバブル」の方が物理化学的に優れているのではないかと、その科学的検証をしないままで、信じてしまう現象ともよく似ています。
また、マイクロバブルであれば、その発生方式は違っても、同じサイズのマイクロバブルであれば、みな同じ性質を有する、このような見解とも相通じることでもあります。
この傾向は、初期の理論的解析を行う研究者のなかにも蔓延っていました。彼らにとっては、同じ大きさであれば、マイクロバブルの性質はみな同じであることの方が都合がよかったのです。
その後、発生装置によってマイクロバブルの性質が異なるという結果が出始めると、このような無理を通すような見解は徐々に少なくなってきましたが、それでも、その痕跡はいくつか残っているような気がしています。
そして、何の科学的検証がなされていないような学説でも、それは短期的には、それがまことしやかな説明がなされると、それを用いて商品の宣伝がなされ、それを高く買ってしまって、「しまった」と思われる方々も少なくないようです。
払ってしまった金額は、戻ってくることはありません。
私は、幾度となく、このような悲劇を耳にしてきました。
私も、そのようなことがないようにと、再三、この場を始め、いろいろなところで注意を喚起してきましたが、それでも、私にいわせれば、そのような悲劇が起こってしまうこともあるようです。
その加圧溶解式の装置を用いて、それを洗浄装置として利用しようとしたことは、まさにその典型的なモデルのような事例でした。
PFさんもは、その加圧溶解式洗浄装置を購入されて、すぐに、それが宣伝されていた機能を有するものではなかったことを、すぐに見抜かれておられました。
いわば休眠状態の装置が、仕事場の隅に置かれたままの状態になっていました。
ですから、その当時のPFさんをはじめ、少なくない方々が、マイクロバブルについてはよい印象を持たれてなく、いわゆる「見せかけ倒れ」になって認知化されていました。
「その方式とは、まったく異なる方式のマイクロバブル発生装置ですよ。発生装置が異なると、発生したマイクロバブルの性質も大きく異なりますよ!」
こういうと、最初はきょとんとされていましたが、徐々に、PFさんは、私どもの話に興味を示されるようになりました。
「私どもは、貴方がなされている同じ仕事の分野でのマイクロバブル洗浄実験を行ったことがありますよ。その結果は、こうでしたよ!」
と詳しく説明をすると、PFさんは、ますます関心を寄せ、目を輝かせるようになりました。
「口で説明するだけでは説得力に欠ける部分もありますので、私どもがいうことに一理があると思われるのでしたら、どうぞ、私どもの装置を貸し出しますので、存分に確かめられてください」
「ほんとうですか、そしていただけますとありがたいのですが・・・・」
「どうぞ、ぜひとも使ってみてください」
このようなやり取りの会話が、PFさんとの間で交わされたことでした(つづく)。
前回の記事において紹介したPFさんは、かつてマイクロバブル装置を使っていたことがあったそうです。
近頃では、マイクロバブル装置といっても、いろいろな装置があるようで、それは「加圧溶解式」と呼ばれる装置だったそうです。
この装置が、ある分野に持ちこまれ、まことしやかに宣伝されていました。
それは、「マイクロバブルが圧壊する」際に発生する「衝撃波」のような作用で、毛穴の隅々まで洗浄されるというものでした。
技術の生成期においては、さまざまな見解が入り乱れ、錯綜して、社会の一部に混乱が生まれることがあります。
「マイクロバブルが圧壊する」ことについては、超音波で発生する現象を機械的に、さもありうるように説明しただけであり、「圧壊」現象が科学的にきちんと示されたことは未だにありません。
マイクロバブルは圧壊せず、収縮して溶解していくのみであり、これが私の観察結果において科学的に観察された現象でした。
このことは、昨年12月に開催されたマイクロ・ナノバブル学会においても質問をさせていただきました。
「あなたは、マイクロバブルが圧潰するという見解を示されましたが、それは、どのような科学的データを踏まえて、そう仰れているのですか。そのきちんとしたデータや根拠がありましたら、教えてください」
こう尋ねると、この講演者は、それに対して何も答えることができませんでした。
さて、その圧壊現象は、実際に見出され、検証されてはいないのですから、それで衝撃波が発生することもありません。
ところが、上記のような非科学的説明が流布し、横行してしまうのは、なぜでしょうか。
ここには、科学をイデオロギーとして把握しやすい日本人的特質があることを指摘せざるをえません。
これは、マイクロバブルよりも「ナノバブル」の方が物理化学的に優れているのではないかと、その科学的検証をしないままで、信じてしまう現象ともよく似ています。
また、マイクロバブルであれば、その発生方式は違っても、同じサイズのマイクロバブルであれば、みな同じ性質を有する、このような見解とも相通じることでもあります。
この傾向は、初期の理論的解析を行う研究者のなかにも蔓延っていました。彼らにとっては、同じ大きさであれば、マイクロバブルの性質はみな同じであることの方が都合がよかったのです。
その後、発生装置によってマイクロバブルの性質が異なるという結果が出始めると、このような無理を通すような見解は徐々に少なくなってきましたが、それでも、その痕跡はいくつか残っているような気がしています。
そして、何の科学的検証がなされていないような学説でも、それは短期的には、それがまことしやかな説明がなされると、それを用いて商品の宣伝がなされ、それを高く買ってしまって、「しまった」と思われる方々も少なくないようです。
払ってしまった金額は、戻ってくることはありません。
私は、幾度となく、このような悲劇を耳にしてきました。
私も、そのようなことがないようにと、再三、この場を始め、いろいろなところで注意を喚起してきましたが、それでも、私にいわせれば、そのような悲劇が起こってしまうこともあるようです。
その加圧溶解式の装置を用いて、それを洗浄装置として利用しようとしたことは、まさにその典型的なモデルのような事例でした。
PFさんもは、その加圧溶解式洗浄装置を購入されて、すぐに、それが宣伝されていた機能を有するものではなかったことを、すぐに見抜かれておられました。
いわば休眠状態の装置が、仕事場の隅に置かれたままの状態になっていました。
ですから、その当時のPFさんをはじめ、少なくない方々が、マイクロバブルについてはよい印象を持たれてなく、いわゆる「見せかけ倒れ」になって認知化されていました。
「その方式とは、まったく異なる方式のマイクロバブル発生装置ですよ。発生装置が異なると、発生したマイクロバブルの性質も大きく異なりますよ!」
こういうと、最初はきょとんとされていましたが、徐々に、PFさんは、私どもの話に興味を示されるようになりました。
「私どもは、貴方がなされている同じ仕事の分野でのマイクロバブル洗浄実験を行ったことがありますよ。その結果は、こうでしたよ!」
と詳しく説明をすると、PFさんは、ますます関心を寄せ、目を輝かせるようになりました。
「口で説明するだけでは説得力に欠ける部分もありますので、私どもがいうことに一理があると思われるのでしたら、どうぞ、私どもの装置を貸し出しますので、存分に確かめられてください」
「ほんとうですか、そしていただけますとありがたいのですが・・・・」
「どうぞ、ぜひとも使ってみてください」
このようなやり取りの会話が、PFさんとの間で交わされたことでした(つづく)。
春の息吹を感じ始めたのでしょうか、クローバーが頭をもたげてきました。
コメント