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鰆(さわら)の背びれ

 安岐港の競りで買った鰆の写真を撮っていたら、その背びれの形におもしろさを感じました。
 まず、形状の異なる背びれが2つ前後に並んでいます。

 なぜであろうか?

 しばし考えても、その理由が解らず、考え続けました。

 おそらく、泳ぐ際の機能が異なるのであろう、そのために、この二段背びれが形成されたのであろう、このように考えながら、1日が過ぎました。

 本日は、その2日目。

 気になって、再び、この背びれと対面しました。

 2つの背びれの機能が異なるのであれば、前の方は、より速く泳ぐためのものであるはずです。

 たしかに、斜め後方に背びれが一定の間隔で並んできれいに形成されています。

 ここに流れが当たると、斜め後方に流れが方向転換し、斜め上方に流れようとする、すなわち、流体輸送がなされるはずです。

 その流れが形成されると、背びれよりも上方にある流れは、より速くなり、そのことによって、魚体付近の流れの圧力はより小さくなります。

 魚体上下の圧力差で魚体を浮かそうとする力、すなわち揚力が働くはずです。

 魚体は重く、沈まそうと重力がかかりますので、これに逆らう揚力を発生させることが、速く泳ぐ上では不可欠なことになります。

 それでは、後ろの背びれは、何ゆえに形成されたのでしょうか。

 この背びれは、前の背びれよりも高く、その縞模様の間隔は狭くなっています。

 そして見るからにしなやかに動きそうな背びれです。

 前の背びれが斜め後方に流れを輸送することができますので、この後部背びれには、前部の流れが直接衝突しにくくなっています。

 そのために、泳ぐ方向に対して垂直方向(魚を上から見ると左右の方向)に動きやすくなっているように見えます。

 となれば、この背びれは、泳ぐ方向を変えるためあるのではないかと思いました。

 そういえば、この鰆の胸鰭(むなびれ)は小さく、これで方向を急に変えるのは無理であると推察しました。

 なるほど、この二段背びれは、よくできていると思いました。

 私なりですが、その謎解きができてほっとしました。

 この謎解きができたせいでしょうか。

 
その味は格別で、真にみごとなものでした。

 この鰆は、いつもよりも大きく体長は55㎝、1本800円でした。

 (つづく)。