本日は、私のブログの愛読者であるMさんが相談に来られました。

 かれは、地元国東の生まれで、若い頃は学問の研鑽をなされ、民間企業に勤めながら博士号を取得されたエリートです。

 マイクロバブルのことに興味を持たれ、私どもが開催する研究会やセミナーにも参加されてきた勉強熱心な方です。

 その彼が、地元産の蜜柑と大きな袋に入ったニンジンを持ってきてくださいました。

 そこで、その蜜柑とニンジンの値段当てが始まりました。

 蜜柑は6個入りでしたので、「これだと100円」と答えると、ピタリ当たりました。1個当たり約17円、都会では考えられないほどの値段です。

 色艶、サイズ、そして味を考慮すると、都会では1個50円でも安いといわれることでしょう。

 さて、問題は、ニンジンの方でした。直径4~5㎝(最大直径)、長さ20数㎝、色つやもよく、立派なニンジンで、このサイズのものが17本入っていました。

 これが、一袋、すなわちニンジン17本でいくらになるか、これが訊ねられました。

 まず、㈱ナノプラネット研究所の社長は、「600円」と答えました。

 私は、それよりも安く「500円」といいました。

 そこに、つい最近まで東京育ちの若い女性が来られ、その値段をMさんが訊ねました。

 その女性の答えは「3000円」でした。

 これには、周囲が吃驚、その理由を尋ねました。

 そしたら、このサイズのニンジンは1本200円はするという答えでした。1本200円で17本ですと合計で3400円になり、控えめに3000円といったことに無理はありませんでした。

 「そうか、このニンジンだと、東京では1本200円が普通なのか」

 そこで、Mさんが、彼女に、その値段を見せると、本当に驚かれたようで、「えっ?」を何回も連発されていました。

 そのニンジンが17本入った袋に張りつけられていた値段表には、298円という価格が示されていました。

 3人とも大外れになりました。

 この298円と3000円の違い、ここには考えさせられる問題がいくつもありました。

 「ところで、そのニンジンの産地は、どこですか?地元ですか?」

 Mさんも、この産地については、事前に調べておられなかったようでした。

 「このラベルには、北海道産と書かれていますよ」

 「そうであれば、同じ北海道産でも、販売する場所が異なれば、その値段がかなり違うということでしょうか?」

 「おそらく、国東の経済事情に則して決められた価格になっているのでしょう」

 「その国東の経済事情とは、どのようなものですか?」

 「ここには、独特の信仰や文化圏があり、むしろ豊後水道や瀬戸内海に通じる経済、交通事情がありました。その意味で、大分県の各都市とは異なる経済圏が成立ってきたのだと思います」

 「と、いいますと?」

 「一番解りやすいのは、O市やN市、さらにはK市などのスーパーとこちらの武蔵町のスーパーとの価格比較をしてみると、その違いがよく解ります」

 「どういうことでしょうか?」

 「たとえば、魚を例にとりますと、この国東は格別に安いところだと思います。何度も、私の目で確かめましたが、まるで、その魚の価格が違うのです。新鮮で美味しい魚であっても安い、これが国東の魚販売の特徴だといえます」

 「それは、とてもよいことですね」

 (つづく)
20160117-tai
 体長44㎝の生きていた天然の鯛(購入価格は1830円)