商工会議所の事務局長さんとはいろいろな話をし、「竹の第」というおもしろい「おでん屋」のおやじがいることまで紹介させていただきました。
事務局長さんのご理解とご厚意で、商工会議所のネットにも今回のフォーラムの案内を流していただけることになりました。
次に、周南市の企業の出身者を中心にした「新商品開発」グループの事務局長さんと面会しました。
ここでは、同行のKさんからフォーラムの説明をさせていただき、その後は自由討論となりました。
私からは、せっかく前向きに新商品を開発していこうというプロの方々が集まっているのですから、高専との協力をもっと発展させる知恵を絞る必要があるのではないかという意見を述べさせていただきました。
ここでは、後日談があり、この事務局長さんは大手企業の技術者に早速フォーラムの案内をなされたそうですが、これが非常に反応が良かったという結果を寄せていただきました。
「そんなすばらしい方が来られるのでしたら、ぜひ参加させてください」
次は、地方銀行の幹部に面会に行きました。
「先ほど、山口県を代表する銀行に行ってきましたので、ここにも来なくてはいけないと思ってやってきました。もうずいぶん前のことですが、S頭取とは大変親しくさせていただきました」
「ほう、そうですか」
「はい、そのころは地元の中小企業を中心にした研究会の会長が頭取でしたので、頭取を囲んで、私も参加させていただいて、ずいぶん熱心な議論をさせていただきました」
こういいながら、ここでも、今回のフォーラムの内容を説明させていただきました。この話の中で、この銀行の関連のベンチャー支援会社があるので、そこの代表者に会いにいくことになりました。
ここでは、会長さん、社長さんが対応してくださり、ここで、また日本酒「錦」の話の花が咲きました。
お二人とも、村重酒造の「錦」が「世界一と日本一」を二連覇されたことを知りませんでした。
「同じ山口県でありながら、こんなすばらしいことを知りませんでした」
「宣伝力が足らないからでしょうか?」
「どうして、世界一、日本一になったのか、しかも二連覇をしているというのですから、それは非常に興味があることですね」
「日本酒には、2つの味の傾向があります。『酸味とコク』がある方、これではインパクトがある味になります。もう一方は、『まろやか』な味です。
この両方を兼ね備えた日本酒はなく、前者は、新潟の酒でいうなら、『八海山』や『影虎』などがそうです。これに対し『まろやか』の代表は、『越の寒梅』ですね」
「先生、えらい詳しいですね」
「いや、私も二連覇を受けて、いろいろと調べさせていただきました。昨年の全国酒類コンクールでの審査員評によれば、『錦』は、この酸味とコク、それからまろやかさの両方を備えていて、新しい味の日本酒であると評価されました。ですから第1位になれたのだそうです」
「なるほど、ますますおもしろい話ですね」
「もうひとつ、重要なことは、『キレ』です。キレとは、酒を口の中に入れると、さっと消えてなくなることをいいます。このキレを出すのが一番難しいのですが、『錦』のキレは、それこそ抜群です。
このキレについては、おでん屋の『竹の第』のおやじさん、彼は日本を代表する日本酒研究者ですが、『先生、こんなキレのよい酒を飲んだことがありません。これはすばらしい』といっていました」
「そのおでん屋は、どこにあるのですか?」
「駅から左の方に5分ぐらい歩いたところにあります。『竹の第』というセンスのよい名前のおでん屋です。このおでんが、また美味しく、食べたことがないようなおでんがでてきます」
「ほう、そうですか」
「ところで、3月にイベントがありますので、先生、そこで、その酒の話をしていただけないでしょうか?」
こちらが頼みにいったのに、逆に頼まれてしまいました。さすがにいやとはいえず、その件を引き受けることにしました。
ほかにも、いろいろな話で盛り上がり、ここを出たころには、すっかり暗くなっていました。
街を歩けば手ごたえがある、そのような事例にいくつも出会った一日でした。
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