大分県国東市武蔵町商工会館には、地元企業や自治体の方々が大勢参集されていました。

まず、講演に招いていただいたお礼を述べ、この国東市に移転する理由を示すことから始めました。

大分空港という大変便利な交通手段が目の前にあること、そして自然や歴史のロマンが溢れる地であること、さらには、グリーンフォート(緑の砦)作戦を本格的に開始するには、非常に適した地域と環境が存在していることを強調させていただきました。

本講演を前にして、地元自治体の担当者から、市の振興計画の文書を送付していただき、少々予習をしておきました。

「この進展地で、グリーンフォート作戦を新たにどう開始し、発展させるのか。そのためには、これまでにないアイデアの工夫が必要になる。どうしようか?」

しばらく、この思索に耽り、その振興計画書を読みかえました。

「まずは、基本的理念から考え直す必要がある。これをどうしようか?」

そう思いながら、次の「6つの基本的理念」について具体的に検討することにしました。

•六郷満山文化を伝える歴史と文化のまち 

•豊かな自然と共生するまち

•大分空港が立地する先端産業の集積地

•山海の特産品と観光・交流施設を有するまち

•市民の健康・福祉を重視するまち

•市民の連帯感があるまち

以前にも書いたことですが、饅頭を食べる時も、その味をどう変えたらよいのかを考えながら食べるのと、ただ美味しいと思って食べるのでは、小さくない違いがあります。

これまでの「まちづくり」においては、このような理念が通用していたのだと持いますが、これから、どう変えるかという「まちづくり」においては、それが、そのまま当てはまらないのではないか。

これが、最初に湧いてきた疑問でした。ここに、「鋭く、大きな直観」を働かせ、これまでとは異なる成長曲線に踏み入るには、どうすればよいのか、その観点から、

むずかしいことをやさしく

やさしいことをふかく

ふかいことをおもしろく

おもしろいことをゆかいに

ゆかいなことはあくまでゆかいに

考えていくことが大切です。

そこで、次のように、上記の6つの理念についてより詳しく考察することにしました。

その第1は、1800年にもわたる「六郷満山文化と歴史を伝えるまち」についてです。

これは、古代ローマの超大国の時代と並ぶ時代の文化であり、ここで、当時としては時代を切り開く超エリートの高僧たちが、厳しい修業を重ねながら、自らを鍛えることで貴重な文化に寄与してきたのです。

このことを思うと、この修業の場は、過去の歴史のなかにのみあるのではなく、現代にも生きる「重要な何か」がきっとあるはずで、そのことをふかく考えることが重要です。

かつて時代を切り開いた修行僧が行ったことは、現代に置き換えられるはずであり、その修業の中身を確立していく必要があるのではないでしょうか。

こういうと、会場は、シーンと静まり返っていました。丁度予定の講演時間を過ぎたころでした。

「六郷満山文化を創った高僧のような修業・鍛錬のまち」

第1の理念は、このように考え直してみました。

(つづく)
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