ところで、「ブレイクスルー技術」とは何か、これは目新しい用語です。
過去においては、羅針盤、火薬、印刷機、電球、自動車、レーザー、携帯電話などを生み出した技術が、これに相当します。
この思いは、これまで行ってきた数々のシンポジウムやセミナーを開催させていただいた経験に基づいていますが、その度に、少なくない参加者のみなさんが、真に、その発展を求めている技術であるという確信を深めてきました。
そこで、4年間勤めた日本高専学会の会長職を辞するときに、「ブレイクスルー技術研究所」の設立を考えました。
ブレイクスルー技術の広い適用分野と優れた特徴を考慮すると、個人的取り組みや、それに近い規模では、この本質的発展を得ることには到底至らないことは明白であり、その基盤形成のための最初の手段として、本研究所の設立を行うことにしました。
今のところ、高専を中心に4人の研究所員と10数名の研究協力員で構成され、順調な滑り出しといえます。
すでに述べてきたように、本研究所における最初の活動の試金石が、長野県阿智村における活動であり、その実績が「ブレイクスルー技術研究所阿智」設立へと結びつき、とても重要な橋頭堡を築くことができました。
(1)昼神温泉の振興と「昼神温泉学」の確立
昼神温泉の振興を実現するために、昼神温泉水の研究を行い、昼神温泉学の確立を目指します。
(2)地域資源を生かした産業振興
自然を生かした農業イノベーションの研究開発を行い、新たな阿智村農業を創造します。
(3)「元気高齢者づくり」
「元気高齢者づくり」を基本に、女性、若者、子供たちの人材育成にも取り組みます。
ブレイクスルー技術研究所は、阿智村と協定書を正式に取り交わし、これらの課題実現をめざしますが、この発展を単に阿智村に留めることなく、全国の自治体にも適用できるモデルにしたいと思っています。
この活動において最も大切に思うことは、その意義をしっかり理解して楽しく協働することにあります。
敵は、鎧兜を身につけ、鉄砲と馬を持っており、幾多の戦乱を生き抜いた野武士の盗賊、武器や実戦力においては圧倒的に劣勢であり、それに打ち勝つには、「知恵」と「教育的訓練」しかありません。そのクライマックスである最後の戦いでは、圧倒的に勝る作戦の下で、その教育成果を活かしながら敵を殲滅(せんめつ)していきます。
これを阿智村に適用すれば、作戦を勝利に導く「知恵」に相当するものの中心は、「マイクロバブル技術」です。これを最高度に洗練して適用することに、その活路の「糸口」があるように思っていますが、その「一部」は、すでに私どもの目の前に見え隠れしています。
そして、「7人の侍」は、ブレイクスルー技術研究所の「みなさん」ということになりますが、これを確実にしていくには、私を含めてみなさんが、まず、その実戦(実践)の意味に目覚めること、そして、具体的な勝利(実績)を積み重ねることによって、その「戦いの基盤」を強固にしていくことが大切です。
この二重の意味において、私たちが「7人の侍」になれるかどうかも本質的に問われているような気がしています(つづく)。
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