ブレイクスルー技術研究所
 2007年9月、日本高専学会内に「ブレイクスルー技術研究所」が設立され、初代所長に就任させていただきました。

この設立目的は、文字通り、「ブレイクスルー技術」を研究開発し、日本社会に根付かせることにあります。
 ところで、「ブレイクスルー技術」とは何か、これは目新しい用語です。

この技術の開発と確立が重要という認識に到達し、これを、「人々の生活や社会の産業を一変させることを可能とする技術」と定義することにしました。
 過去においては、羅針盤、火薬、印刷機、電球、自動車、レーザー、携帯電話などを生み出した技術が、これに相当します。
      マイクロバブル技術とブレイクスルー技術
 私は、ひそかかに、マイクロバブル技術が、この「ブレイクスルー技術」に発展する可能性があるのではないかと思い始めています。
 この思いは、これまで行ってきた数々のシンポジウムやセミナーを開催させていただいた経験に基づいていますが、その度に、少なくない参加者のみなさんが、真に、その発展を求めている技術であるという確信を深めてきました。
 そこで、4年間勤めた日本高専学会の会長職を辞するときに、「ブレイクスルー技術研究所」の設立を考えました。
 ブレイクスルー技術の広い適用分野と優れた特徴を考慮すると、個人的取り組みや、それに近い規模では、この本質的発展を得ることには到底至らないことは明白であり、その基盤形成のための最初の手段として、本研究所の設立を行うことにしました。
  今のところ、高専を中心に4人の研究所員と10数名の研究協力員で構成され、順調な滑り出しといえます。
 すでに述べてきたように、本研究所における最初の活動の試金石が、長野県阿智村における活動であり、その実績が「ブレイクスルー技術研究所阿智」設立へと結びつき、とても重要な橋頭堡を築くことができました。
         ブレイクスルー技術研究所阿智
 それは、マイクロバブル技術を次の3つの課題を中心に実践的に試すことができることにあり、さらに、それを高専教員や学生を基本とする「共同実験の場」して、自らも「ブレイクスルー」する可能性を追求することにあります。
  (1)昼神温泉の振興と「昼神温泉学」の確立
 昼神温泉の振興を実現するために、昼神温泉水の研究を行い、昼神温泉学の確立を目指します。
 (2)地域資源を生かした産業振興

 自然を生かした農業イノベーションの研究開発を行い、新たな阿智村農業を創造します。
 (3)「元気高齢者づくり」

 「元気高齢者づくり」を基本に、女性、若者、子供たちの人材育成にも取り組みます。
 ブレイクスルー技術研究所は、阿智村と協定書を正式に取り交わし、これらの課題実現をめざしますが、この発展を単に阿智村に留めることなく、全国の自治体にも適用できるモデルにしたいと思っています。
 この活動において最も大切に思うことは、その意義をしっかり理解して楽しく協働することにあります。

この活動スタイルを研究するために、映画「7人の侍」を繰り返し鑑賞させていただきました。

彼らは、最初、「米の飯が食べられる」という条件だけで雇われますが、その動機において「本質的な変化」を遂げるようになります。それは自らの「戦い」に目覚めたことにあり、彼らも、農民も共に自立し、協働する「戦い」へと変貌していきます。
 敵は、鎧兜を身につけ、鉄砲と馬を持っており、幾多の戦乱を生き抜いた野武士の盗賊、武器や実戦力においては圧倒的に劣勢であり、それに打ち勝つには、「知恵」と「教育的訓練」しかありません。そのクライマックスである最後の戦いでは、圧倒的に勝る作戦の下で、その教育成果を活かしながら敵を殲滅(せんめつ)していきます。
 これを阿智村に適用すれば、作戦を勝利に導く「知恵」に相当するものの中心は、「マイクロバブル技術」です。これを最高度に洗練して適用することに、その活路の「糸口」があるように思っていますが、その「一部」は、すでに私どもの目の前に見え隠れしています。
 そして、「7人の侍」は、ブレイクスルー技術研究所の「みなさん」ということになりますが、これを確実にしていくには、私を含めてみなさんが、まず、その実戦(実践)の意味に目覚めること、そして、具体的な勝利(実績)を積み重ねることによって、その「戦いの基盤」を強固にしていくことが大切です。
 この二重の意味において、私たちが「7人の侍」になれるかどうかも本質的に問われているような気がしています(つづく)。


atimuraHP-1
            阿智村の雲海(阿智村HPより引用)