ある業者の訪問
先日、私のところに、M県から来られた業者の方がいました。
マイクロバブルの実験に取り組んでいるというので、早速、その結果を報告していただきました。
土での野菜栽培にマイクロバブルを用いた場合とそうでない場合の比較実験を行ったという
のです。
その写真もありましたが、その結論として、次のように報告されました。
「まだ実験が始まって3ヶ月しか経っていませんので、マイクロバブルあり無しの違いが出ていません。もう少し、追跡調査をしたいと思っています」
私は、こう聞いて吃驚しましたが、次の私の言葉に、彼らは、さらに愕然としたようでした。
「マイクロバブルの効果は、1週間で出てきます。なぜなら、Yさんのところでは、22日のサイクルで野菜が出荷されています。
そこで大幅な違いが出ているのですから、3ケ月経っても成果が出ないということは、半年、1年経っても成果が出てこないということを意味していますよ」
彼らは、目を丸くしていましたが、どうやら、自分たちが用いた「マイクロバブル発生装置」に原因があることに気づいたようでした。
「私が開発した装置を使っているのではない、そうですね」
というと、「そうです」という返事が返ってきました。
賢明な読者のみなさまもお分かりのことと思いますが、私が長年にかけてマイクロバブル技術のブームを作ってきたのですが、それに便乗して、類似の装置を販売している例も数多く認められるようになりました。
よく聞いてみますと、その装置も、マイクロバブルがわずかに出ているだけで(私どもの装置の10分の1以下の量しかでていない、しかも、そのマイクロバブルが私たちのいう植物活性が出ているかどうかは確認されていない)、何も確かめずに採用したとのことでした。
ですから、3ケ月経っても何の変化も起こらない、私にいわせれば、起こるはずもない変化
を期待しているだけで労力を費やしている、そのようにしか解釈できないことでした。
光マイクロバブルの植物活性が起こっていない
さて、その違いが生まれる原因は何か、それを一言で表すならば、その物理化学的特性に
あるといえます。
これを簡単にいえば、マイクロバブル(光マイクロバブル)が、
1)収縮すること、
2)負電位特性を有すること、
3)光ること
の3つに集約されます。
裏返せば、収縮しない、マイナスの電位が高くない、光らないマイクロバブルでは、上記の山根さんのところのような「野菜革命」は起こらない、あるいは、仮に起こったとしても、わずかな傾向の発揮に留まるのではないかと思っています。
これに関係して、日本が生んだ著名な医学者の野口英世博士のことを思い出します。
彼は、アフリカで発生した黄熱病という奇病の解明のためにアフリカに乗り込みます。
この病原菌を突き留めるためでした。
しかし、その目的は達成せず、彼自身が、その病気にかかって病に倒れてしまいます。
その後、しばらくして、その病原菌は突き止められますが、そのときに、なぜ野口博士が突き止められなかったかについての原因も明らかになります。
それは、当時の野口博士が用いていた顕微鏡の倍率に限界があったからで、それよりも高
倍率の顕微鏡を用いて、その病原菌が初めて観察可能となったからでした。
歴史に「もしも」の言葉は不要とよくいわれますが、野口博士が用いた顕微鏡の倍率がもう
少し高ければ、彼は、その病原菌を突き止めた功労者として、そしておそらく、その病気の治
療法を確立した学者として、後世に多くのものを伝えたに違いありません。
このことは、私たち研究者にも、「最高の手段を用いない限り、最高の結果を得ることはできない」という重要な教訓を教えているような気がします。
上記は、「3ケ月待つ話」でしたが、それ以上待っても意味がない話で済みました。しかし、命をかけて取り組んだ研究が成就されない話には、歴史や運命の厳しさを感じざるをえません。
これらの話は、他人事ではなく、私自身が「肝に銘ずべきことだ」と思います(つづく)。
ズッキーニの花(緑砦館2-C水路)
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