発生した大量のマイクロバブルのほとんどが小さくなる、これがマイクロバブル

の最初の重要な特徴です。すでにお気づきのことと思われますが、それでは、この

マイクロバブルは、どこまで小さくなっていくのか、その疑問がでてきます。マイクロ

メートルの次に小さい単位はナノメートルです。すなわち、1マイクロメートルの千分

の1が1ナノメートルになりますが、気が遠くなるほどの「小ささ」といえます。

J0423011_2 この数年、ナノサイズの技術の可能性が各方面から指摘され

ています。この技術の特徴は、サイズが非常に小さくなることに

よって、予想もしない新しい効果や反応が起こることにあります。


そこで、マイクロバブルが収縮するのであれば、ナノサイズまで小さくなっていくの

か、あるいは、別の発生因によって、もともとナノサイズのバブルが存在するのか、

これらが問題になります。また、その観測や識別をどのように行うのか、これも重要

な問題とiいえます。

まず、用語の説明からしておきましょう。

マイクロバブル:マイクロサイズの気泡、とくに、その発生時に10~数十マイクロ

メートルの直径を有する気泡と、限定的に定義する場合もあります。

マイクロナノバブル:気泡径が10マイクロメートルから数百ナノメートルのサイズの

気泡。

ナノバブル:数百ナノメートル以下の気泡。

これらを総称して、「マイクロ・ナノバブル」という呼称も用いています。

ここで、「マイクロナノバブル」という中間的なサイズの気泡の定義をなぜ行うかと

いう疑問が湧いてきますが、これは、マイクロバブルが常に時間的に収縮していく

ので、そのサイズの違いによる明確な区別ができないからで、少し柔軟な定義法を

採用しています。

これらの定義を踏まえますと、「マイクロバブル」は、収縮して「マイクロナノバブ

ル」に移行していきます。そこで、まず、マイクロバブルが「マイクロナノバブル」へ

と収縮していく過程を丹念に観察しました。

水槽内に発生させたマイクロバブルを厚さ1mmの薄い水路内に導き、そこで静か

に上昇しながら、小さくなっていくマイクロバブルを観察する装置を開発しました。こ

れで可視化(目で視えるようにすること)すると、たしかに、マイクロバブルは上昇し

ながら、どんどん小さくなっていました。

これを精度よく観察すると、どうやら、数マイクロメートルから数百ナノメートルの

サイズまで収縮していることが、徐々に明らかになってきました。その限りでは、マ

イクロナノバブルもナノバブルも存在するといえそうです。

また、マイクロバブルとマイクロナノバブルの相違も明らかになり、その収縮率に

大きな違いがあることも判明してきました。これを踏まえますと、上記の分類にも意

味があったということが確認されました。

 

Photo_2 左は、マイクロバブルが収縮する過程の概念モデルです。