マイクロバブルの性質を考察する際に非常に重要なことは、それを発生させた装

置によって、マイクロバブルの性質が、それぞれ微妙に異なることです。これはある

意味で当然のことですが、いまだに、そのことを理解できない方も少なからずおられ

るようです。どうやら、それを認めると、ご自分で展開されてきた学説が足もとから

崩れてしまうからでしょうか。また、その解明にあまり熱心ではない方が少なからず

おられます。

私が、これまで述べてきたことは、私が開発した「超高速旋回式」と呼ばれる装置

において認められることであり、その意味で、他の装置を用いた場合には、マイクロ

バブルの性質も異なる、これが当然のことなのです。しかし、それを認めたくないの

でしょうか、最近、「発生装置が異なるとマイクロバブルの性質も異なる」という当然

のことを、「大きな誤りである」と大上段に主張される方まで出てきました。

このような現象の出現は、新技術の発展の初期状態、いわば未発達の段階にお

いてよく出てくるものであり、そのことが一定の混乱を生み出しますが、やがて、何

が正しいかが理解されるようになり、その淘汰がなされるようになります。

その際、最も遅れるのはむしろ研究者や開発者の方であり、それらの方々にとっ

ては、自分の周りとは異なる社会の現実において何が起きているかについて、むし

ろ目に入らない場合が多いようです。

そこで、超高速旋回式と加圧溶解式の比較を行いました。前者は、秒速数百回

展で水と空気を旋回させる方式であり、後者は、圧力をかけて気体を液体の中に

強制的に溶け込ませた後に、圧力を急減させて、そこに気泡を出現させる方式で

す。後者は、サイダーやビールの栓を抜いたときに出てくる泡と同じものと考えてい

ただくとよいと思います。

最も典型的な混乱が、この両者において起こりました。マイクロバブルであれば、

この両者は同じであるというのです。そういうのであれば、それらをきちんと科学的

に比較検証した結果があるであろうと思って、それを調べると、そうではありませ

ん。そして、なんとなく同じであってほしいと願っているだけの実態が、徐々にです

が明らかになってきています。

水道水において、その2つの比較を行いました。まず、泡の出方が異なります。超

高速旋回式では、強い光を当てない限り、目視では、泡がよく出て「白濁」するよう

な現象は見出せません。それに対し、加圧溶解式では、いわゆる「白濁」した泡で

水槽内が充満してきます。これを「泡らしい泡」というそうですが、それについても、

その根拠を聞くと何も答えられない場合が多いようです。

 「やはり、白くないと泡ではない。そうでないと、お客さんには認めてもらえない」

と口々にいわれます。さらに、前者の泡に対して、後者の泡は、次のようにいわれ

たこともありました。

「超高速旋回式の泡は、濃度が薄い、加圧溶解式は、高濃度である」

これも、ただ見た目だけからの判断によるもので、何が薄くて、何が濃いかのきち

んとした判断は示されませんでした。

そこで少し整理を行いましょう。人は見た目で判断できないとよくいわれますが、

じつは、泡についても同じことがいえます。白濁している、していない、薄い、濃いと

いうこと自体には、あまり意味はありません。なぜなら、最も大切なことは、それが

どのような性質や機能を持つかを明らかにすることであり、それを見た目だけで判

断すると、人の場合と同じように、とんでもない間違いをしてしまう恐れがあるから

です。

現に、この間違いはいろいろなところで起こりましたし、しばらくは、今後も継続し

て起こる可能性もありますので、マイクロバブルに関心のお持ちの方にとっては要

注意事項といえます。

そこで、さらに、この問題の比較検証を進めることにします。

Photo_2 左は、超高速旋回式で発生したマイクロバブルであり、光を当てないと白濁はみえない。

 

Photo_3 左は、加圧溶解式で発生させた気泡であり、光を当てなくても白濁化している。