昨日は、急遽、山口市宮野にある著名な陶芸家を尋ねまし
た。その息子さんが、高専の1年生で、私が、かれらの「創造
演習」という授業科目を担当しています。夏休みを利用して、
自分たちでテーマを決め、その調査研究、実験の結果を得る
ことを宿題としていました。彼らが選んだテーマは、陶芸にお
けるマイクロバブルの効果に関するものでした。
その陶芸家の息子であるY君が、そのテーマを提案し、他の
3名とともに取り組むようになり、お父さんに相談したようでし
た。
「マイクロバブル、それは何だ?」
聞いたこともない言葉が出てきて、そのお父さんも戸惑った
ようでした。それでも、息子がどうしてもやりたいというので、イ
ンターネットで調べてみると、マイクロバブルのことがたくさん
出てきたので、今度はお父さんが吃驚しました。
「それ、おもしろそうだね。やってみるか!」
こういわれて、今度はY君が吃驚、少々では動かないお父さ
んが、その気になっている、おまけにお母さんもやる気を見せ
ているようで、家族総出で、それに取り組むことになりました。
「先生、水曜日の午後にやることになりました。先生、マイク
ロバブル発生装置を持ってきていただけますか?」
前日に、いきなり、こういわれ、私もあわてましたが、丁度時
間が空いていたので、「よしわかった。会議があって少し遅れ
ますが、必ず行きます」と返事しました。
現地に着くと、すでに学生たちと両親が、土の準備をされて
いました。簡単な打ち合わせを行い、さっそく、試験のための
マイクロバブル水づくりを行いました。
その間、見事な作品を見せていただきました。茶碗、壷な
ど、思わず息を飲むような作品ばかりでした。とりわけ、陳列
上段の棚に置かれた壷に目が留まりました。上下は素焼きの
色で、中央部に横に釉薬がかけられ、雲がたなびいているよ
うな水平模様がありました。
芸術作品は、ひとつでも素晴らしいものが目に留まると、残
りはどうでもよくなります。これは、ミュンヘンでゴッホの絵を観
たときもそうで、ルーベンスなどの絵をさほど見たくなくなった
経験を思い出しましたが、それと同じことになり、その壷しか見
えなくなってしまいました。
最初は、優劣のつけようがないと思うほどにたくさんの作品
が並んでいたのですが、そのなかで一番が見つかると、その
思いが激変してしまうのです。「これが、一番すばらしいです
ね」と素直な感想を述べると、その陶芸家のお父さんは、少し
微笑まれていました。
マイクロバブル水ができあがって、比較資料を含めて4種類
の板を作り上げました。これから乾燥して、1週間後には焼い
てくださるそうで、「はたして、何がでるか」、とても楽しみです。
これらの試験片づくりで、学生たちはもちろんのこと、お父さ
ん、お母さんも目を輝かされて作業に取り組んでおられまし
た。
とても、さわやかな一日でした。
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