秋晴れの「ここちよい」お昼時です。天高く、吹く風もさわや

かです。担当の高専専攻科生との論文内容に関する打ち合

わせを済ませて緑地公園にやってきました。ベンチに座って、

ゆっくりと空を眺めるのは久しぶりのことです。本日は、スポー

ツ大会があるのでしょうか、歓声や音楽が聞こえてきます。

平和で豊かな昼時のようです。

さて、マイクロバブルの「黒い水」のことが気になりながら、時

が、しばらく過ぎていきました。

「なぜであろう」と思いながら、それを「どのように考えてよい

か」がわからないままの状態が続いていました。つまり、「ブレ

イクスルー」する解明の糸口が見いだせないままでした。

今年の2月、京都のY美容院で、ある実験を開始しました。そ

れは美容師さんが「手荒れ」でよく辞めてしまうということでし

たので、それを「なんとか改善できないか」という切実な要請

にもとづくものでした。

最初の実験は、新たに開発した装置内に、直接、手荒れし

た手を入れていただき、その様子を観るというものでした。

みなさん注目の中、手荒れのひどい方が選ばれて実験を開

始しました。お湯のなかでマイクロバブルを発生させ、そのな

かに手を入れただけで、「どうですか?」と聞くと、「気持ちいい

です」という返事がみなさんから返ってきました。

「今後、これを継続して様子をみましょう」といって、その実験

を終わりかけたのですが、みなさんが何やら驚かれていまし

た。なんなのかと覗くと、その水槽内では、白く濁った液体が

存在していました。もちろん、マイクロバブルで白く濁ったので

はありませんでした。

美容師さん方には、それが何かがすぐにわかったようでし

た。その手を入れた美容師さんたちの手の汚れが、沁み出し

てきて白濁化した結果だったのです。

「やはり、こんなに汚れていたのか。マイクロバブルで、それ

を出させた結果だ」

と、口々にいいだしたのです。

「そうか、美容師さんの手のなかには、いろいろなものが沁

み込んでいるのだ。どうやら、それをマイクロバブルが引き出

したようである」

私も、こう思いましたが、それ以上の追及はしませんでした。

なぜなら、このときは、赤ぎれがひどくて、文字通り、「黒い手」

をした美容師さんの窮状を何とかしなければならない、その思

いの方が強く、この「白い液体」にまで頭が回らない状態でし

た。

ですから、この「白い水」については、強い印象を抱いただけ

で、それが「黒い水」に結びつくことはありませんでした。色も

「白と黒」とでは違いますので、その相関関係を見出すことは

できませんでした。

このときは、私の頭の中では、「黒い水」と「白い水」は別々

の存在として認識されていました。

ここに「素人研究者の未熟さ」があるのですが、未知の課題

といいますか、自分の専門領域から少し外れる課題や現象に

に出会うとと、このように「思いが及ばない」ことは、常に出て

きて、そこで立ち止まってしまうことが少なくありません。

残念ながら、「黒い水」については、私も経験不足で、未熟な

段階に留まっていて、その現象から、「重要な何か」に結びつ

く「真理」を見出すことができないままでした。

J0221879