岡藤社長、中村支配人との懇談は、さらに盛り上がっていきました。このなかで、

先にも紹介させていただいた先代社長の話がよく出てきました。そのかれは、ホテ

ル建設と運営が順調に行くようになると、今度は健康食材の開発に凝るようにな

り、「トトロの里」という自然食品のレストランをつくり、とくに、「そば作り」に打ち込

むようになります。「そば」は、素材の粉と水で決まります。その「そば粉」探しでは

全国を歩きまわり、満足の「そば粉」を見つけます。水は、そのレストランの近くのお

いしい湧水を用いました。とても美味しい「そば」だそうですので、今度尋ねて賞味

させていただきたいと思っています。

 この「そば」については、マイクロバブルで味が向上した事例もあります。マイクロ

バブル水を用いると、そば粉内に水が浸透しやすくなり、結果的に「柔らかいが弾

力性がある」という「そば」ができあがるからです。この場合、「そばの命」は水という

こともあり、その水をマイクロバブルは本質的に変えてしまいますので、その水の良

さを一段と引き出すことができることに注目することが大切です。

 さて、温泉の目的は、寛いでゆっくり入り、心身を癒していただくことにあります。と

ころが、全国的に同じ現象が起きているのですが、それは、温泉水の温度が熱す

ぎてゆっくり入れないという問題です。たとえば、41℃の場合、ほとんどの方が4~5

分で風呂を出てしまいます。熱さに耐えられず、出てしまうからですが、これでは身

体の奥まで温まることができません。ましてやゆっくり温泉に入ることもできません。

 私は、冬場になると40℃に設定して風呂に入りますが、これだと長く入ることがで

き、入浴しながら毎朝2つの新聞をゆっくり読むことを日課としています。わずか1℃

の違いが、風呂をゆっくり楽しむということに対しては、大きな違いになってしまうの

です。

 これは、お年寄りの方が、「風呂がぬるい」とよくクレームをつけることと関係して

います。お年寄りは、自分の体温が低いために、より熱い風呂を好む方が比較的

多く、ぬるいお風呂だと、すぐに温まらないと思っておられるようです。ところが、

41℃に入ると、少し熱くは感じるのですが、4、5分で、その熱さに耐えられなくなっ

てすぐに出てしまうのです。これでは、身体の表面を温めただけで、中の深い部分

まで温まることはありません。これでは結果的に、お年寄りのためにもならないわけ

ですが、それが日本全体でできていないのですから、これは重要な問題といえま

す。これを1℃下げれば、ホテル側にとっての大変な節約になります。それを日本全

体で実現すれば大変な省エネになります。

 かつてガスの場合で試算がなされたことがありますが、4℃では15%の節約にな

りますので、1℃ですと3.8%になります。仮に年間1000万円の燃料費ですと38万円

の節約が可能となります。

 お年寄りには、冬は40℃、夏は39℃でゆっくり温泉に入っていただき、身体の奥

まで温まって温泉の良さを味わっていただく説得活動が必要です。それが、温泉に

おける本当の「おもてなし」になるのではないでしょうか。

 この問題についても、熱い意見交換がなされました。そして、次は、ミリバブルの

話に移りました。

                                             (つづく)

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