ホジュンは、さまざまな妨害や迫害を受けながらも、宮廷医官としての信頼を増し

ていきます。その理由は、皇族の病気を治すというほぼ「絶対的に近い医術」を身

につけていたからです。

 いかなる権力や策謀も医術の前には無力であり、皇族の病気を治し、健康にする

ことが絶対的に要求され、それを実現させました。

 時には、その治療の競い合い、自分では対応できない大病の治療を押し付けら

れますが、それとて実際に治すことで、困難と思われる状況を根本的に変えてしま

いました。

 そのホジュンの優れた資質は次のような特徴を有しています。

 ①ユ医師から教えられた「医者の道」を、どこまでも貫こうとします。これは、患者

の立場に立って病気を治す、思いやり、憐れみをもって患者に接することでした。

 ②病気の対応には、朝鮮はおろか、中国の古い文献を多数読破し、さまざまな文

献における実践的な医学的対処を無数に経験しています。この経験を実践的に生

かすことができたのです。とくに、皇子の重度な化膿症を池に生育していた「ヒル」

を用いて治した時は、その文献調査力が発揮されたときでした。

 ③もうひとつの対処法として、針打ちの名人でもあったことです。この技術は、師

匠のユ医師も認めるほどで、針を打つ位置の正確さは群を抜いていました。また、

灸の腕も立派でした。

 ④自ら薬草刈りを行い、薬を煎じて作りだすことにも優れていました。また、新しい

薬草を見出し、新薬を創りだすことにも熱心でした。とくに、戦場で薬剤がなくなった

ときに、王様の薬として炭の木液をイェジンと一緒になって見つけて王様を救ったと

きは、ホジュンの創造力が働いたときでした。

 このように、ホジュンは実践的にも、理論的にも非常に優れた資質を常に身につ

けて御医としての不動の地位を築いていったのです。

 このホジュンの自己形成、医者としての専門家形成には、非常に参考になる普遍

的課題がいくつも存在しており、それが私どもの自己形成、専門家形成にも十分役

立つことでした。

                                           (この稿続く)

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