2日間の講演会を通じて、最も印象に残ったのは、2つの特別講演と3つの学生

演でした。前者においては、この十数年間で約50名の専攻科生を国際学会で発

表させた重松先生の教育研究業績、そして全国的に時代に同調しながら発展し始

めている高専の今日的状況を分析し、新たな全国連携の課題を示された小田理事

の講演内容が注目されました。

 学生では、明石高専専攻科生の佐本君の発表が注目されました。彼は、すでに

日本高専学会専攻科「論文奨励賞」を受けられていますが、その内容とは別の新し

い発表を行い、しかも、その実験的研究において大変な努力を払った成果を発表さ

れていましたので、みなさんの注目を集めていました。

 次は、2つの土木教育賞受賞者の講演でした。高松高専の森澤海里君は、「土木

人へのステップ~高専5年間の取り組み~」と題し、5年間で8つの資格試験に合

格し、留学生のチューター、4年生における「創成工学」という授業において、香川

県における「水問題」を調査研究し、最後には、卒業研究に取り組み、その成果を

学会発表させたことなどが報告されました。これらの取組を行う中で、彼が着実に

成長してきた姿が、この講演のなかに表現されていて、高専というシステムが彼の

成長に見事に適合している様子が明らかになりました。

 松江高専の坂本諭君は、初の4年生による受賞であり、「島根県山城遺跡の測

量」と題する内容が注目されました。これは、地元の考古学者と協力して行った測

量、3次元地図、山城地図づくりであり、その専門家との検討を重ねるなかで新た

な発見がいくつもあり、地域においても評判になった取り組みとなりました。また、

彼を中心とした取り組みは、この測量に留まらず、コンクリートカヌーコンテストや

英語スピーチコンテストにまで発展し、その後者では第1位を得るまでになったこと

が大変な評価を受けました。

 このように、すばらしい実践例が報告され、参加者のみなさんは大いに感心し、

励まされることになり、この講演会を特徴づけることになりました。

 最後に、私も、「なぜ、高専は時代対応型なのか、高専生の優れた資質を考える」

と題して発表させていただきました。また、それに関連して、高専と長岡技術大学と

の連携問題についても重要な意見交換をさせていただきました。

 こうして少なくない成果を生み出した第1回講演会でしたが、第2回は、豊橋技術

科学大学での開催を検討させていただくことになりました。

                                   (この稿続く)


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