4日間で3つの講演があり、少し慌ただしい日々を過ごしました。本日は、休息の

日曜日としてゆっくり過ごしています。マイクロバブル風呂にも、たっぷり時間をか

けて入らせていただきました。最近は、気温が上がったからでしょうか、水温を39℃

に設定していてもよく汗が出てきて爽快です。

 さて、村重酒造の話に戻りますが、昨年の秋ごろに杜氏の日下さん、担当の福光

さんをはじめ3人が徳山高専に来られました。コーディネータの野崎さんを含めた、

マイクロバブル発生装置の導入問題を検討するためでした。

 今から振り返ると、ここでの検討が決定的に重要なものとなりました。すでに、み

なさんは、酒造りにマイクロバブル技術が有効であることを理解されていましたの

で、それをどのように具体的に適用するかどうかが話し合われました。

 そこで、私は、3つのA、B、C案を提示し、それぞれの場合の装置の特徴や機能を

説明させていただきました。この場合、後者になるほど、装置の規模が大型化か

し、機能性に関する制御の範囲が広いという特徴を有していました。とくにC型は、

容量が500リットルにも及ぶ大型装置であったことから、その中に酒を入れて操作

することができるようにするものでした(逆に、前二者は、装置を既存の酒のタンク

に入れて、マイクロバブル処理を行う方式のものでした)。

 いろいろな議論の末、杜氏の日下さんが、「社運を賭けて、その大型装置にする

のがよいと思います。帰って社長に決めてもらいます」といわれました。じつは、こ

の決断が、その後の展開にきわめて重要な結果をもたらすことになりましたので、

私も、講演のなかで、そのことをしっかり強調させていただきました。

 こうして、日本酒業界としては、初の本格的な酒造り用マイクロバブル発生装置

が導入されることになりました。

 結果的に、「鬼に金棒」という事態に到達することができました。この場合、鬼は

「杜氏」であり、金棒は、「マイクロバブルのC型装置」となりました。そして、この鬼

が金棒を駆使し始めることによって、マイクロバブル酒「錦」が誕生し、早くも上述

のトリプル受賞へと導かれていくことになりました。

 あるとき、杜氏の日下さんが、次のように述懐されていました。

 「先生、私は若くして杜氏になり、はや20年を超えました。長い間、杜氏を行って

きて、どうしても退屈するようになり、なにかないかと思い続けてきました。ところが

このマイクロバブルとの出会いで、そのような思いが吹っ飛んでしまいました。今

は、『マイクロバブルで、こうしてみよう、ああしてみよう』という思いがいくつも浮か

んできて、面白くてたまらなくなりました。毎日、わくわくしています」

 この思いは、祝賀会に集まった村重酒造の社長や従業員のみなさんにもあふれ

ていました。この「やる気」によって金冠(ゴールドクラウン)を得た村重酒造、これ

からも、さらに発展することでしょう。

 とてもさわやかな祝賀会でしたので、帰りの車中においても話の花が咲きました。

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