村重酒造50周年祝賀会の帰りに、私たちの車に同乗していただいた方がいまし

た。その方は、周南市野上町にある「竹の第」という「おでん屋」さんのオーナーでし

た。

 まずは、その店の名前が変わっていましたので、その意味を聞くと、その「第」と

は「屋敷」を意味するのだそうで、そういえば、「聚楽第(じゅらくだい)」という屋敷も

ありました。竹の屋敷が「おでん屋さん」、まずは名前からして洒落ています。この

オーナー、長年村重酒造とは付き合ってこられた方で、先代の杜氏との「やり取り」

まで詳しく教えていただきました。この話をお聞きして、この方は、酒に関して何でも

知っている大変な方だと思いました。

 それから、村重酒造の酒を含めて、大いなる酒談議が弾みました。大変勉強にな

りました。そして、酒に次には、当然のことながら、「おでん」の話に移りました。「お

でんとは、そのネタを買ってくるものではない、自分でつくるものだ」と言い始めまし

た。

 そうやって、自分で作るのか、そのようなおでんに巡り合ったことがなく、最初はど

んな「おでん」であろうかと、いくら思いをめぐらしても、具体的に想像することができ

ませんでしたが、その「おでん歴」は屋台から始めて40年余というのですから、これ

は相当なものです。

 そこで、その40年の年期を有する「おでん」が地元の周南市にあるのだから、これ

は、それを自分で食べてみるしかないと思うようになり、その翌日に、この「竹の第」

を訪れました。いきなり、「昨日の今日」でしたから、私どもによる「思わぬ来客」に

オーナーはとても喜ばれていました。

 さっそく、食べたこともない創作「おでん」をいただきましたが、これらが大変美味

しく、吃驚の連続でした。いわしの「つみれ」、そのなかにピーマン、シャケ、ジャガ

イモ、小豆、たこなどいろいろなものが入っていて、それがいずれも特徴ある味でし

たので、感心しながら賞味させていただきました。

 めったに町には出ない私ですが、ここだったら、おでんを食べに行けるなと思いま

した。そして、この口達者なオーナーと「酒談議」、「おでん談義」ができそうで、とて

も楽しみにしています。

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