マイクロバブルのぶつり(物理)をすこし考えてみることにしましょう.ふうせんの

じっけん(実験)でもあきらかになったように,マイクロバブルという小さいきほう(気

泡)のひょうめん(表面)には,ふうせんを引きのばし,ちぢめるときにはたらくちょう

りょく(張力)がはたらきます.きほうですから,そとがわのぶぶんがえきたい(液

体),うちがわがきたい(気体)でなりたっています.

 じつは,なかのきたいのあつりょく(圧力)と,このひょうめんにはたらくちょうりょく

が,つりあって,きほうがたもたれるのです.ふうせんをふくらませるときに,きたい

にあつりょくをかけ,それにたいし,ふうせんにはちょうりょくがはたらいているの

で,なかのあつりょくとふうせんのちょうりょくがつりあうので,ふうせんの大きさはか

わらないじょうたいをたもつことができるのです.

 このちょうりょくは,ふうせんのしゅうい(周囲)にはたらきますが,あつりょくは,ふ

うせんのなかのきたいのすべてにはたらきます.ちょうりょくは,ふせんのだんめん

(断面)におけるしゅういの長さ,あつりょくは,そのだんめんせき(断面積)にはたら

きますので,そのちょうりょくにたいするあつりょくのわりあいは,その半径にひれい

(比例)します.つまり,ふうせんの大きさが小さくなりますと,ちょうりょくにたいする

あつりょくのひ(比)も小さくなっていきます.これは,マイクロバブルのように小さい

きほうにおいても,それが小さくなると,なかのあつりょくがふえることをいみ(意味)

します.

 小さいとじこめられたくうかん(空間)のなかで,あつりょくが高くなるとどうなるの

でしょうか? じつは,そのなかのおんど(温度)も高くなり,高いあつりょく,高いお

んど(温度)のじょうたい(状態)をつくることができるようになります.もんだいは,

そのあつりょくとおんどが,どのくらい高いのかですが,これについては,だれも,そ

れをあきらかにした人とはいません.とてもじゅうよう(重要)なことですが,こんごの

けんきゅう(研究)において,あきらかにされるひつようがあると思います.

 こうかんがえますと,マイクロバブルは,ふつうのきほうのように,上にあがりなが

ら大きくなるのではなく,ぎゃくに小さくなって,そのなかのあつりょくとおんどを高め

ていくことができるきほうであるという,とてもとくしゅな「きほう」ということができま

す.

 これは,マイクロバブルを発生させるきかい(機械)がかいはつ(開発)されるまで

は,この世の中にないものでした.私が,それをかんせいさせたのは1995年のこと

でした.

                                             (つづく)
J0438864