菱もエビモも,この池の水草に関しては「脇役」でしかありませんでした.それで

は肝心の主役は何だったのか? それが気になりますが,その主役は沈水植物

だったので,なかなか,その正体を顕わにすることはありませんでした.

 約2カ月前に,この池の調査に行ったときに,その岸辺を歩きながら,奥の方まで

いきました.それは,菱とエビモの大群を直に観察するためであり,それらを目の

前にして,その素晴らしさに見とれました.

 「これがマイクロバブル効果か!すごいことが起こっている.しかし,これらの成長

は,この大群の範囲で,なぜ留まったのであろうか?」

 こう考えながら,その周りをふと見渡しました.そしたら,さらに奥の方に,なにや

ら黒いものが水中にあるのを見つけました.これは,かなり奥の方まで広がってい

たので,最初は,菱の大群が新たにできたのではないかと推測しました.

 そこで,同行していた㈱ナノプラネット研究所の社長に,傍まで近づいていただい

て,その植物群の正体を探っていただきました.どうやら,菱とは違う植物であるこ

とがわかりましたが,正確にそれを同定することはできませんでした.それにして

も,その大群は大きく,幅数メートル,長さ30mを超えるものでしたから,それは尋常

な生え方ではありませんでした.その正体は何か? その時は,とても楽しみにし

て帰りました.

 それから2カ月後,今度はボートを漕いで,直接,その植物の大群のところまで行

くことになりました.目指すは,池の奥の2か所ですが,その一方に近づいて,目を

奪われました.それは,オオカナダモの大群だったのです.長さも1m以上のものも

あり,それがぎっしりと生えた様はじつに壮観で,これこそ,「水のオアシス」だと思

い,感動しながら観察を続けました.

 風に揺られ,ボートは池の奥にまで吹かれていきましたが,その度に,オオカナ

ダモの大群がより近くにくっきりと見え,まるでオオカナダモの絨毯の上に乗ってい

るような錯覚に陥りました.

 燦々と輝く太陽の下,湖面を渡る初秋の風を感じながら,本物の「水のオアシス」

を十分に堪能させていただきました.

                                             (つづく)

Img_1257  
池のオオカナダモ(撮影は㈱ナノプラネット研究所の大成由音氏)