この度,東京の台東区船堀にある㈱コラボ産学官という連携組織の会員になら

せていただいて,そこでの活動を開始することになりました.この組織は,朝日信用

金庫の支援を受けて設立されたものですが,主として,全国の地方大学や高専が

参加されています.

 そのメリットは,東京という最重要な場所にあり,そこを拠点として,さまざまな研

究開発,商品開発に関する連携事業ができることにあります.同時に,地方大学や

高専が力を合わせて,そこを舞台に活躍する「場づくり」にもなることにあります.

 今から5年前,東京にある高専の産学連携担当の教員に,次のようにいって,そ

の拠点づくりをお願いし,また,その高専を会場としてシンポジウムを開催したこと

がありました.このシンポジウムは300名近くが参加して大成功したのですが,結

局,その1回で終わりました.しかし,主催者の高専校長は非常に喜ばれていまし

た.

 「東京は,何と言っても全国の中心だから,あなたの高専と自治体(区)が協力し

てサテライトオフィスを構えているので,そこを全国の高専と協力して共同の取り組

みの場にはできないか,それが難しいならあなたの高専でもよいのですが,どうで

しょうか?」

 しかし,この要望は,結果的に実現しませんでした.地方からみると,「東京」とい

う都市は,あらゆるものが集積し,しかも日本の最先端の事象がいくつも実現され

るところですから,その価値たるや大変なものです.

 当時は,コラボ産学官のような組織があることを知りませんでしたので,それで,

中断して残念だったのですが,今度は,それを活かした活動が再開できそうで,私

なりに重要な位置づけを行い始めています.

 さて,世の中を見渡しますと,大学や高専では,「連携」というキーワードをよく聞く

ようになりました.これに産と官を加えると,「産学官連携」になりますが,これもよく

耳にします.ところが,ここから十分な成果がなかなか出てこない,ある企業コンサ

ルタントのI氏は,「これだけたくさんの産官学連携に関する莫大な経費を投入しな

がら,そこから出てきた成果はあまりにも少なすぎる」と嘆いておられました.おそら

く,この嘆きは,現在の連携の状況を一部反映したものかもしれません.

 問題は,その「連携」の内部に潜んでいるように思いますが,そこから解きほぐし

て行く必要があるように思います.

                                              (つづく)

J0407524