Intuition(ひらめき) から Invention(発明) へ至る典型的な過程を,キュリー夫妻をモデルにして学んできました.

 このIntuitionは,ペクレル教授に見せられた写真乾板の感光に基づくものであり,それが契機となって,光電管による実験がなされ,その結果が最初のInventionへと結びつきました.

 そして,このInvenionを粘り強く5677回の実験を積み重ねることで確かなものとなっていきました. この確かなInventionは,やがて社会的諸条件に適合し,今度は,innovationを起こすことになりました.

 昔の映画に,ケイリー・グラント主演の「夜も昼も」というものがありますが,この主人公は,戦争中に,有名な「bigin the bigin」を作曲している際に,爆撃を受けて怪我をします.この主人公は,ショックを受けて病院をはしごするようになるのですが,その受付に行き,病状をいうと,「はい,レントゲンに行け」といわれます.この受付は,「レントゲン」とだけいえばよく,それだけ病院にとっては必須のものとなっていました.

 このシーンは,キュリーが発明した技術が第一次大戦に使用され,Innovationが起きたことを示す象徴的なシーンだと思いました.

 こうして考えますと,その起源となるIntuitionが,いかに大切かがよく理解できます.これがなければ,次のInvention には転化することはありません.

 また,そのIntuitionにおいて,洗練された優秀性がなければ,これもまた,ただの思い付きにしか過ぎず,Inventionの灯を点火することはできません.ましてや,それらがInnovationに達することなどほとんどありえないのです.

 これらを踏まえますと,いかにして,洗練された優秀性を内包するIntuition が得られるように修行を重ねていくかが決め手になりそうです.その場合,「貧にして学ぶ人」,「貧にして研究する」ことも,ある意味では「よい修行」になるかもしれません.そして,そのことを「一分」にして「天命」とまで思えるように自らを高めていく必要があります.

 本日のテレビで,iPS細胞の研究事情が述べられていましたが,最後に,お金と時間,そして労力が莫大に必要ということが強調されていました.たしかに,優れた研究成果が得られていますが,このパターンが現在の研究モデルだけではないような気がしました.