入れ替わり,立ち替わり,岩村夫妻と溜まり溜まった話をし,もみじ饅頭焼き機で饅頭づくりを観察しながら,さらには,「美味しい,美味しい,さすが!」とマイクロバブルもみじ饅頭を食べては,お茶を飲んでいました.

 まことに,少々せわしいことになっていましたが,その理由は,岩村夫婦側にありました.私と話をしながら,それが終わらないうちに,お客さんと接しなければならず,その繰り返しで,少しも落ち着いて話をすることができませんでした.

 外からみれば,まことに普通の状態とはいえない,ちょっと面白い光景でした.

 さて,相棒の大手証券会社のHさんは,どうしたのかと見渡すと,店頭のもみじ饅頭ケースの前で購入手続きをされていました.先ほど,熱々のもみじ饅頭を食べて気に入っておられたので,お土産を買うということを決められたようでした.

 「お土産ですか?奥さんも,さぞかし喜ばれることでしょう.これだったら,まちがいないですね」

 こういって注文の内容を確かめると,これまた吃驚しました.職場のみなさんほかにと,合計で約10箱ほどを注文をしていたからです.

 「これは,すごいですね.さすが,大手証券会社,いろいろなところに配るのですね」と思い,私が吃驚していたので,Hさんは,しずかに,にやっと笑われていました.

 Hさんが,大量に購入されたので,私はどうしようかと思案していたところ,そばに,新しいお客さんがやってきました.

 このお客さんを注意深く観察していると,この方も10個入りを10箱購入されました.

 「あのぉー,どうして,この饅頭を10箱も買われるのですか?」

 辺鄙なところにあり,店舗も小さいし,あまり宣伝もしていないようだし,明らかに,さっき通ってきた大きな菓子店とは違う条件の「岩村もみじ屋」さんです.

 「それはのぉー,ここが一番美味しいからや.だから,ここまで買いに来るんや!」

 こういいながら,このお客さんは代金を払い,そのもみじ饅頭を店に預けて,後で取りに来るといっていました.

 「これから,会合があるので,これを持っていけないので,ここに置いとってくれやぁ!」

 早く買っておかないと売り切れてしまうと思ったのか,それとも,それを持って他の店の前を歩くのがいやなのか,その詳細はわかりませんが,とにかく,このもみじ饅頭が気に入っておられるようでした.近くの会社の社長さんのようでした.

 この社長さんと話をしていると,今度は,中年の女性が,もみじ饅頭を買いに来ました.とにかく,そこにいた朝の2時間で,一度も客が途絶えたことがなかったのです.

 ですから,岩村夫妻が,私どもに入れ替わり立ち替わり対応しながら接客するという慌ただしい状況になっていました.他に若い男性が購入に来たお客さんへの対応をなされていましたが,それでは間に合わないほどに,次から次にお客さんがやってきたから,岩村さんらも動かないわけにはいかなかったのです.

 この連続して購入者がやってくる現象は尋常ではないと思いました.しかも,そのほとんどの方々が,その饅頭の美味しさを求めてやってきていたのでした.

 こだわり続けて,もみじ饅頭づくりに力を尽くしてきた岩村さんの努力の成果が,このような形で現れている姿に小さくない感動を覚えました.「岩村さん,がんばったかいがありましたね」と思わずいいたくなりました.

 そこで次に,もみじ饅頭を造るための仕込み工場を見学させていただきました.4年前に「あらゆる工程でマイクロバブルを駆使するのがよいですよ」といって,「そうします」と岩村さんが答えられたことを思い出しました.

 工場は,店と隣接した位置にありましたが,かなり狭いところでした.空間を駆使し,いくつの工程でマイクロバブルを使われていました.

 「そうか,よく工夫されて,やられているな!」

 こう思いながら,岩村さんといくつかの質議を行いました.そして,最後に,最近の研究成果を踏まえて,「もっとよい利用法がありますよ」と,重要なことを述べさせていただきました.それで,このもみじ饅頭はさらに進化することになると思い,次のようにいわせていただきました.

 「これで,このもみじ饅頭が,さらに美味しくなりますよ!」

 こうして,私も,このマイクロバブルもみじ饅頭を,お土産に買わせていただきました.昼食には,Hさんとともに,名物の焼きガキとアナゴ丼を食べ,次の訪問先である岩国市の村重酒造に向かいました.

 

Momijiya-2

岩村もみじ屋の店頭にて