早速,本ブログの効果があったようで,もみじ饅頭と村重酒造の日本酒を注文させていただきましたという連絡を受けました.

 そうですよね,文字だけでは満足できずに「堪(たま)らなく」なりますよね.饅頭は食べ,酒は飲まなければ,その価値を味わうことはできません.

 一通りの酒造り見学を終え,杜氏さんらの事務室で話をすることになりました.机の上には,早速,お茶とともに,次の2つの「利き酒」が用意されました.

 ①純米大吟醸の新酒の「錦」

 ②昨年の大吟醸「錦」(市場では,売り切れ)

 これらの酒における大きな相異は,アルコールブレンドの有無にあります.周知のように,②の酒が三冠を達成した酒であり,これは非常にインパクトがあり,個性豊かなものでした.

 審査員の評価にもあったように,「酸味」と「コク」,そして「切れ」があり,さらに「まろやか」という4つの味を見事に抽出させたものでした.

 ①の新酒については,それらが非常に穏やかで,しかし,品の高い上質の味に仕上がっていました.

 「この純米大吟醸酒もなかなかよいですね.ところで,今年の大吟醸『錦』の造り具合はいかがですか」

 「はい,昨年は,暮れのお歳暮の前に売り切れてなくなってしまいましたので,昨年よりも2割増しの生産を目指しています.大吟醸ですから,増やすにしても,なかなか容易ではありません」

 「さきほど,樽を見せていただきましたが,非常によいにおいがしました.大吟醸酒を造る作業も大変ですね」

 「そうですね.簡単ではありません.さまざまな工程を経て,あの錦が生まれてきますので,少しも気を抜くことができません」

 「それにしても,最初でありながら,よくあの味が出ましたね」

 「いろいろ,試行錯誤がありましたが,それを繰り返しているうちに,マイクロバブルの使い方が分かってきました」

 「そうですね.それは,私どもの研究結果とも符合していますので,理にかなったやり方ですね.今考えてみると簡単には日本一にはなれないわけで,そこに重要なブレイクスルーがあったのだと思います.ところで今年はどうですか?」

 「昨年は,予想外の三冠達成でしたので,今年は,それらを踏まえてのことですので,だいぶ事情が異なります.とくに,全国酒類コンクールの場合は,第1位から第50位までの順番が付けられますので,相当厳しい評価になります」

 「その今年の目標はいかがですか?」

 「はい,第1位から10位ぐらいまでに入ることを目標にしています」

 「昨年と同じ酒ができれば,連覇も可能ではないでしょうか.なかなか,簡単には造れない酒であり,それにマイクロバブルの効果が加味されますので,それは離れ業以外の何物でもありませんね」

 「なんとかやってみようと思っています.久しぶりに,マイクロバブルのおかげで酒づくりが楽しくてしかたありません」

 こういう杜氏の日下さんの目は,一段と輝きを増していました.

 この2009年において三冠達成を行った「錦」は,今や岩国市の村重酒造の酒という位置を抜け出し,全国を代表する酒になっています.この酒の発展いかんが,全国の酒類業界に影響を与える存在になりつつあるのです.

 一方で,経済不況の影響もあり,日本全体での日本酒の摂取量が極端に減少しつつあります.とくに,それは値段の安い日本酒において顕著な傾向にあります.この不振が酒造メーカーに直接影響を与え,その存続させ難しくなってきているのです.

 このような状況を踏まえますと,ここは「錦」に大活躍をしていただいて,全国的に日本酒の摂取量を増やす先導役を果たしていただく必要があります.

 また,日本一の酒が,どのような理由と方法で製造され,評価を受けているか,これもより広く明らかにされる必要があります.

 これらを踏まえると,「錦」と村重酒造,さらにはマイクロバブル技術の果たすべき役割は小さくなく,今後の活躍が期待されるところです.

 それにしても,K1,K3,酒豪のH先生,教え子のMさん,はっちさん,これらはみなマイクロバブル酒に関心を持たれている方々ですが,新酒の大吟醸「錦」が待ち遠しいことですね.

 今年は,どこかで,みなさんといっしょに,「錦の乾杯」ができるとよいですね.

Nisiki 

村重酒造HPから大吟醸酒の「錦」