旅の楽しみの一つは、全国各地の美味しいものをいただくことにあります。今回の旅においても、その佳味(かみ)に出会うことができました。

 その第1はホッケです。最近は、北海道でしか食べない焼き魚ですが、以前は居酒屋でよく食べていました。焼き立てのホッケはとくに美味しく、好物の一つでした。

 ところが、私は、この魚の食べ方を知らなかったようで、K水産のK会長が、「先生、ホッケで一番おいしいところはここですよ」といわれ、その焼かれた皮の部分を私の皿に入れていただきました。

 「そうですか、ホッケの皮が一番おいしいとは知りませんでした」

 そういえば、少なくない焼きホッケを食べてきましたが、一度も、その皮を食べてことはありませんでした。

 この水産会社のプロが勧めるだから、さぞかし美味しいものであろうと予想しましたが、それを食べてみると、「こんなにおいしいものか」と吃驚しました。

 本場で食べるホッケだったこともあったでしょうが、その味は、生きのよい鮎を焼いた皮の味とよく似ていました。鮎の場合は、身体が小さく、すぐに食べてなくなってしまいますが、ホッケは体長が違うので、存分に、それを賞味させていただきました。

 ホッケは、肉の部分ではなく皮が旨い、これは初めて知った佳味でした。

 その第2は、長万部「かな屋」の「カニ弁当」です。この弁当を初めて食べたのは、23歳のときでした。それ以来、この味が忘れられず、2回目は2000年前後の2年間、ホタテ養殖改善の研究において、この地を訪れたときでした。この時、かな屋に、このカニ飯をよく食べに行きました。

 そして、今回が三度目、特急北斗で新札幌から函館を向かう車中で、長万部を通過する際に、列車内で、その弁当を予約注文することができました。

  カニの身をほぐして、少し塩味をきかした昔ながらの味は今回も変わらないままであり、初めて、この弁当を食べたときの感動を思い出しました。函館空港でも、カニ弁当を食べましたが、これには甘みが加味されており、かな屋の弁当の方が上等だと思いました。

  第3は、函館のイカでした。ホテルの朝食には、イカそうめん、イカの塩辛が美味しくて、お土産にも、その塩辛を買いました。また、小箱の中に収められたイカ飯も美味しく、やはり、函館はイカですね。

 これらをもっと生かす、その知恵を絞ることができるとよいですね。

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