昨日は、雨のなかでわたしの研究室のH君と一緒に作業を行いました。

 「雨が降ってきたので、早めに作業を止めて引きあげようか?」

 「いや、だいじょうぶです。このぐらいの雨なら平気です」

 こういわれると、わたし一人が止めるわけにもいかないので、そのまま作業を続けることにしました。

 その作業を行った場所は、あの巨大ホテイアオイを育てた図書館前の池です。今は、そのホテイアオイではなく、他の植物が育てられています。

 その一つがクレソンですが、これは、すでに花が咲き始め、そろそろ終わりになりそうですので、H君と一緒に、次は何をやろうかと相談をしながら作業を進めることにしています。

 なにせ、この池からマイクロバブルの植物活性の研究が開始されましたので、今となっては伝統ある実験池ともいえなくはありません。

 この担当のH君、日ごろから口数の少ないおとなしい好青年ですが、彼の特徴はなんといっても、なにごとにおいても、こつこつと「粘ってやりぬく姿勢」にあります。

 近頃は、このような学生がかなり少なくなりました。それだけに、かれの粘り強い努力が必然的に目立ってしまいます。

 その彼に、わたしは、この作業について、いつもこのようにいっています。

 「H君、なにごともおもしろいことがいいよ。それが、だれもやったことがない新しいことだったらもっといいよ。むずかしいことをやさしく、そしてやさいいことをおもしろくだよ!」

 こういうと彼は、少し微笑んでいつもうなづきます。

 そこで、先日来、その彼と柑橘類の木を植えました。植えましたといっても、それは水の中なので、「入れた」と表現した方がよいのかもしれません。

 はたして、これがどうなるか? その後の推移を観察してきましたが、それが枯れる気配はありませんが、大きく伸びるという段階にも達していないようで、もう少し継続して観察する必要があるようです。

 「H君、これらの木が居心地が悪そうなので、もう少し快適空間にしてあげようよ!」

 こういって、雨のなか、この木を移し替えて、よりよい状態にしてあげることができました。

 その後は、実験室に帰って、さらに実験室内を整備、今年は、実験室前の空き地にも植物育成水槽を置いて、さらに新たな実験を行う予定です。

 さんさんと輝く太陽の光、少し控えめの栄養、そしてたっぷりとしたマイクロバブル、これらを与えてやることで、植物がどう反応し、成長するか、これに、どこまで迫るか、これを行うのがH君の研究です。

 さて、植物は正直です。最高にリラックスしていただき、二酸化炭素と酸素を吸って、必要な栄養と水分を与えれば、それにふさわしい状態で育っていきます。

 私には、この植物の素晴らしい成長が、H君の成長とダブって見えてきます。その成長のいかんは、どこまで彼とおもしろいことができるかどうかにかかっているような気がします。

 そのために、今度は何をしようか、そして、それをどうおもしろくしようか? そんなことを、また考え始めています。

 おもしろいといえば、昨日は、「ギャグの神様」森川信について書かせていただきました。彼の場合は「仕草」で観客を笑殺させました。

 これに因むとすれば、私たちのギャグは、「新しい植物の仕草」で示すことに挑戦することになりそうで、それをH君ほかと追及することになります。これが最高のギャグになれば、森川さんも井上さんもきっと喜ばれることでしょう。

 今年は、「おもしろいこと」を「まじめに」やる必要がありますね。

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