昨日、ある野菜工場に関するテレビ番組を拝見しました。それは、まず出演者全員による、露地野菜と植物工場で育てられたレタスの試食から始まりました。

 植物工場の専門家、野菜料理家、農業家、テレビ解説者などによって、その2つのレタスが試食され、司会者より、「どちらか、露地野菜と植物工場野菜をあててください」という質問がなされました。

 みなさんは、その区別がすぐにできたようですが、それをきっぱりと答ることができなかったようで、次のような歯切れの悪い返事ばかりでした。

 ● しゃきしゃき感は、どちらも同じです。

 ● 緑の濃い方(じつは、露地栽培の野菜)が野性的な味がします。

 ● 緑の薄い方がおとなしい味がします。

 ● あまり明確な違いはないようです。どちらもおいしいです。

 そして、最後にその専門家に対しても同じ質問がなされました、かれが、甘くておいしいといったのは、じつは露地野菜の方でした。

 さすがに、その専門家も困ったようで、植物工場の野菜もいろいろなものがあるので、このような結果もありうるという見解を示されていました。

 続いて、植物工場における野菜作りの問題点が検討されました。以下に、その要旨を示します。

 ①植物工場には、人工照明を使用する場合と自然光を利用する場合の2通りがある。前者においては、日本が、後者においては、ヨーロッパが世界をリードしている。

 ②人工証明型においては、レタス一株当たりの単価は、蛍光灯で111円、LEDで244円の経費がかかる。

 ③植物工場野菜の特徴は、野菜に付着している細菌数が非常に少ない、また、ビタミンCなどの栄養価が高い。

 ④植物工場野菜には、政府認可のマークを付けることによって、露地野菜と区別する必要があるのではないか。

 ⑤植物工場での野菜の生産は、葉野菜、実際にはレタスがほとんどである。レタスだと、照明を与えた分がすべて葉として育てられるので無駄がない。ところが、トマトだと葉や茎を育てるのにも光が必要であり、その分が無駄になる。

 後半では、同じスーパーで購入された露地野菜のレタスと、植物工場のレタスの価格比較されました。

 それは、露地野菜が158 円、植物工場が360 円でした。しかも、露地野菜の方が3倍重量があり、結局、6倍の価格差が生まれているという現状が示されました。

 これでは比較にもならないということですが、さすがに、みなさんは、そこまでいうことができず、困っておられました。

 これを踏まえて、今後の課題が検討されていましたが、結局は、次の重要問題には触れられていませんでした。

 ①植物工場において、露地栽培の野菜よりも格段においしい野菜をいかにして生産するか。

 ②安価でおいしい野菜を売って、十分に採算がとれる栽培方法をいかに開発するか。

 ③葉采類のみでなく、果采類、根采類、貴重野菜をいかに効率よく栽培するか。

 ④安全で、よりおいしくて栄養価の高い野菜をいかに生産するか。

 ⑤農家においても利用が可能な植物工場をいかに造りあげるか。

 これらを考慮すると、植物工場が抱える課題は少なくなく、その発展にはまだまだ時間がかかりそうで、そのブレイクスルーが期待されます。

  J0433084