本日は、出前授業をするために周南市にある中学校に出かけました。受講者は、3年生の34名、保護者や先生方など多数の方々が参加されていました。
授業は、朝の10時50分から12時40分までの110分間、出前授業にしては比較的長時間にわたるものでした。
「今日は、いつもより比較的うまくいったようだ」
これが、授業を終えた時の素直な感想でしたが、それは、授業中に一人も私語をしなかったからで、「こんなこともあるのだ」と思いました。
出前授業のテーマは防災であり、「土砂災害の科学」とさせていただきました。
その前半は、昨年の7月21日に多数の死者を出した山口県防府市の土砂災害について、その大変な状況を説明させていただきました。
大量の降雨があり、それが土石流発生の引き金となりました。
今回の土砂災害の特徴は、風化した花こう岩質の「マサ土」が大量に土砂として流れ出したことにありました。
それが家屋や道路を埋め尽くしてしまい、人命にかかわる被害にまで達してしまいました。
多くの方々が、山口市に行く時には、いつも通る国道が土や石で埋め尽くされたのですから、これはだれも予想することができませんでした。
そこで、なぜ、大きな石や大量の土砂が流れ出すのか、そのことをやさしく説明させていただきました。
後半では、いくつかの手づくり教材を用いた体験的学習基本とした授業を行いました。 以下は、その概要です。
1.ストロー実験 ストローを配り、それを強く吹くと、その風は涼しく、ゆっくり吹くと温かいの違いがでます。それは、なぜですか? と考えていただきます。
2.ふうせん実験 例の大きくふくらませたふうせんと小さくふくらましたふうせんをストローでつなぐと、どちらのふうせんが大きくなり、その一方は小さくなるかという実験です。
この実験ではだれもが間違うので、先生、お母さんも間違えるのだということを教えます。
そうすると、先生も、お母さんたちも、一瞬顔を曇らせます。
そして、このようにいって生徒さんたちに、「まちがってもはずかしくないことなのですよ」という気持ちを教えます。
そうすると、今度は生徒の皆さんの顔が明るくなります。
また、大切なことは、その結果を実際に見せて、科学的事実は一つしかない、そのことを自分の目で見せて試すことの大切さを教えます。
ここが一番大切なことなのです。
その後に、実際に、自分でふうせんをふくらませて、それが小さいときと大きいときとでは、どちらが息を吹きこみやすいかを体験していただきました。
そして、最後に、張力と圧力の関係を説明させていただきました。
さらに、ふうせんが小さくなった場合を考えると、マイクロバブルという小さな気泡の問題にも関係することをいうと、みなさんは、びっくりされていました。
この場合、気泡の内部圧力と張力が釣り合う簡単な式が求められます。この式から、その内部圧力は、直径に反比例するという関係が求められます。
すなわち、直径が小さくなればなるほど、圧力は大きくなるという関係です。
これが、マイクロバブルにおいて内圧が高まるという根拠になっていますが、その物理現象を大雑把に説明するときに用いられる考え方です。
しかし、実際にはもっと複雑な現象を伴いますので、このような考え方は通用しません。しかし、その基本的な考え方においては、マイクロバブルに通じることになる話ですので、それを紹介することにしています。
そして、この話をよく理解していただいた女子の生徒さんに、拙著『マイクロバブルのすべて』をプレゼントさせていただきました(つづく)。
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