自信形成問題(3-3)

 高専生は、どのように自信形成を行って、卒業していったのでしょうか?

 あるいは、卒業後の人生において、その形成が、いかに役立ことになったいったのか?

 これらの問題が、いつも気にかかっていて、それらをどう考えていけばよいのかを、しばしば考察を重ねてきていました。

 周知にように、高専卒業生の年齢は20歳、専攻科生は22歳です。

 これらの若い世代の人々が、ひたむきに技術を学ぶことの意味は、どこにあるのでしうか?

 かれらが高専に入学してきた時の年齢は15歳です。

 これは、あのレオナルド・ダ・ヴィンチがベロッキオ工房に弟子入りした時が14歳であり、わずかに1歳しか、その年齢差はありません。

 スティーブ・ジョブズは、13歳の時に、ヒューレットパッカーズのCEOのビル・パッカードに直接電話し、周波数カウンターの部品の提供を依頼しました。

 ビルは、それを快諾し、夏休みに自分の会社でアルバイトをすることを持ちかけられ、それを受け入れ、実践的な勉強を行いました。

 また、同年に高校に入ってからは、やがて共同開発者となるステイーブ・ウォズニアックと親しくなり、「ブルーボックス」を開発・販売して小さくない利益を得ることができました。

 共に、高校生に近い年齢から、かれらは、実践的な芸術や技術の勉強と開発を行っていたのです。

 これらの事例を参考にしながら、高専生の実践的技術教育および豊かな創造性を生み出す技術教育のについて、改めて、その根本問題を考えてみましょう。

 その第一の特徴は、本科生の場合は5年一貫、専攻科生の場合は7年一貫の技術教育、技術研究を行うことです。

 工業高校の場合は、3年一貫ですので、1.7~2.3倍の技術教育がなされています。

 また、これを大学の工学部の学生と比較しますと、専攻科生の場合には、約900~1000時間も多く講義と実験実習を行っています。

 これによって、高専専攻科生は、大学生に負けない工学と技術に関する知識力を持つことになりました。

 第二の特徴は、大学生と比較して3年早く実践的な技術教育を学ぶことができます。

 大半の大学生は、入ってすぐは教養課程で勉強しますので、その専門教育機関は約3年間です。

 高専生の場合は、専門の基礎が2年生から始まりますので、それよりも約1年長く学ぶことができます。

 卒業研究については、大学生も高専生も同じで約1年間の課程です。

 しかし、専攻科生の場合には、本科の卒業研究の1年、専攻科の特別研究が2年の課程を有していますので、合計で3年の研究期間を有しています。

 大学院修士課程の場合は、2年の課程を有していますので、学部の4年生の卒業研究期間を合わせると同じく合計で3年の研究期間を有しています。

 ここで、高専の専攻科生と大学院生修士課程の学生の比較を行うと

 本科の卒業研究の修了 専攻科の特別研究の修了
      20歳        22歳

 大学生4年生の修了  大学院生修士の修了
      22歳        24歳
  
 両者において相異が認められるのは単なる2歳の年齢差があるのみです。

 共に、それぞれにおいて卒業論文、特別研究論文、修士論文を執筆しますので、これについてはほとんど差異はないはずです。

 また、それらの研究成果を学会において発表することに関しては、ある地方大学工学部の教育認定審査の結果を基にすれば、大学院修士課程における学生の学会発表は1~2回であり、これらは、専攻科生の場合とほぼ同数であるといってよいでしょう。

 また、総時間数で比較すると、高専の4年、5年と専攻科の2年と大学生では、高専の方が900時間多く、それは大学生の総時間数の1.8倍に相当します。
 
 すなわち、高専の方が、大学よりも2倍弱もより多く専門科目を教えているのです。

進路の早期決定

 第三の特徴は、高専生の場合、その入学時に技術者になることを家族のなかで決めてから入学しています。

 すなわち、技術者になっていくという進路決定が15歳の時になされています。

 一方、大学生の場合は、3年生になってもなかなか決められないという傾向があるようであり、その年齢は21歳前後となり、高専生とは小さくない差異が生まれています。

 この進路に関する早期の決定は、技術者になっていくことにおいて真摯に勉学を積み重ねていくことに関して有利に作用します。

 また、高専を卒業してから、さらに大学に行って勉強をしたいという希望が生まれた場合には、大学の3年生へ、専攻科生の場合には大学の修士課程に編入学が可能であり、これらの入学を大学側からは大いに歓迎されています。

 第四の特徴は、豊かな創造性の養成の問題です。

 著名な心理学者によれば、若者が創造性を最もよく養いやすい年齢は15歳からであり、高専生は、大学生よりも3年早く、それに向かうことができます。

 また、その創造を養成する期間は、15~40歳といわれています。

 高専生は、15歳で、その養成期間が開始され、本科終了で20歳になりますので、その期間は5年間、専攻科生の場合は、20歳で始まって22歳で終了しますので、その2年間が加えられます。

 すなわち、15歳から22歳までの7年間が創造性の養成期間になります。

 一方、大学生の場合は教養課程がありますので、学部・修士の場合は、20歳から24歳までの5年間が養成期間に相当します。

 高専専攻科生とは2年の差異があります。

 この創造性は、自己形成による自己確立と不可分であり、それが可能にならないと豊かに達成されるものではありません。

 高専生は、その入学と同時に自己形成を開始し、その自己確立を果たしていく中で実践的な技術教育を学んでいくことができます。

 これらの創造性の養成の開始年齢における3年の差異、実践的教育における創造性の養成期間における2年の差異、そして自己確立をなしていく期間の差異には、非常に小さくない問題が存在しているのではないでしょうか?

 これら四つの基本的特徴が、高専生の自信形成問題に、どのように影響するのでしょうか?

 次回は、この問題に深く分け入っていくことにしましょう(つづく)。

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コマツナ(緑砦館1-A水路)