どん詰まりの円安

 昨年の10月以来、約1年ぶりに1ドル150円を突破し、異常な円安状態が続いています。

 一昨日、日銀は、約1%超の国債金利に上昇することをしぶしぶ容認しましたが、これは、すでに、その金利上昇が急上昇してきて、すぐに1%を越えそうな勢いになってきたことを見越しての慌てての容認でした。

 これに伴って日銀の植田総裁の会見がなされましたが、あやふやな1%超容認会見であったために、市場はそれを見透かして、逆に1ドル151円にまで上昇しました。

 金利を上げるといえば、通常は円高に振れるはずですが、そうならなかったのは、この日銀の曖昧な姿勢が影響しています。

 また、昨日は、アメリカのFRBが当面金利を据え置くことを決めましたが、現在の金利は5.5%と高いままの状態です。

 これに対して、日本の国債の金利は、未だにマイナス0.1%ですので、日米の金利差は5.6%になります。

 円キャリー

 この日米の国債金利差を利用して、莫大な利潤を得ている人たちがいます。

 かれらは、円安状態にある円での本国債を買い、それを元手にしてアメリカでドルに換えて運用し、その金利によって儲け、さらに、その金を用いて、より円安状態になった日本国債を買っています。

 これを「円キャリー」というのだそうで、この運用でしこたま外国人投資家たちを儲けさせているのが、今の日銀政策なのです。

 さて、ここにきて、日本国民は、深刻な物価高に苦しむようになりました。

 物価が次々に高くなっていくことをインフレーションといいます。

 この急速なインフレーションを防止するために。アメリカのFRBは、急速に金利を上昇させてきました。

 これは、異常な物価高によるインフレーションを防ぐために、ゼロ金利状態から5.5%にまで金利を上昇させてきました。

 これによって、たしかに消費者物価指数は減少してきましたが、それでも、現在の状況は安心できずに、インフレーション化の再燃に注意しています。

 このように、インフレーション化を防ぐには、自国の国債に金利を上げる方法しかなく、そのために国債の値段が低下しても仕方がない、これがアメリカをはじめとする世界の主要国における主な金利政策になっています。

 しかし、この政策を実施できない、このジレンマに陥っているのが日本です。

 なぜでしょうか?

 このところの異常な円安よって、輸入物価が高騰し、インフレーションが進行しています。

 しかし、日銀と日本政府は、この円安による輸入品の物価高によるインフレーションを防ぐために、これまでのゼロ金利を変更して、日本国債の金利を上げることができない状態にあります。

 インフレーションが起きて物価高になっても、そのインフレ対策を記氏ることができずに、ずるずると何もできないままでいる、しかし、円安を利用して円キャリーによる短期的金利上昇になれば、それをしぶしぶ認めるしかない、これが、その情けない実態ではないでしょうか。

 すなわち、インフレーション下において、インフレ対策ができていない、これが、どうしようもない、情けない現実といえます。

 どうして、このように、泥船状態になってしまったのか?

 次回は、この問題により深く、分け入ることにしましょう(つづく)。

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               チェリーセージ
(前庭)