「奥の細道」研究
 
 私の友人に木更津高専前教授で国語が専門のI先生がいました。

 その方は、何代目かは忘れましたが、松尾芭蕉の弟子として口伝において継承されてきたそうで、非常にユニークな方でした。

 かれとは、非常に馬が合ったといいましょうか、いろいろな共同作業を行うことができました。

 あるとき、電車のなかで、本記事の執筆を勧めていただきました。

 それが、今では5300回を超えたのですから、恩人の一人といってもよいでしょう。

 その時、かれが強調していたのが、かならず、「毎日書くこと」でした。

 これを守ってきたことで、かれの真意を理解することができました。

 あるとき、かれに、松尾芭蕉とはどのような人ですかと尋ねたことがありました。

 話し上手で、聞き上手、その地、その地で、集まって来られた方々と話し合い、親しくなることに非常に優れていたようで、それが、その時のかれの返事でした。

 それから、時が流れ、私も「老いを覚悟」する年齢になりました。

 その先輩として、これまでも、こよなく愛読してきた森村誠一さんの『老いの覚悟』、『老いの意味』、『老いの正体』を拝読しました。

 また、その心境のなかに、松尾芭蕉の「奥の細道」への想いがあることを知り、その紀行記として『芭蕉の杖跡』とDVD『謎の奥の細道をたどる』に出会うこともできました。

 これらの導きによって、私も森村さんと共に、この奥の細道に分け入ることができたようで、松尾芭蕉と森村芭蕉の句魂に触れることができました。

 それらについては、別のシリーズにおいて、下記の連載を行い、すでに23回の記事を認めることができました。

 「老いの覚悟と生き方(4850回記念)(37)奥の細道(23)」

「不易流行」という句魂について

 「不易流行」は、「奥の細道」において松尾芭蕉が追い求めた句魂の本質概念です。

 これを作家の森村誠一さんは、松尾芭蕉と同じルートをたどって探究されています。

 かれによれば、不易とは『不変のもの』、流行とは『時代とともに動くもの』」と解されています。

 「この相反する概念を統一的に捉え、その本質を旅のなかで追い求める、これが句界の頂点にいた芭蕉の最後の挑戦であった」

とも解釈されています。

 この句道の旅のなかで、松尾芭蕉は、後世においても広く伝わる名句を生み出されています。

 この指向がバックになければ、到底、創造することができなかった「不易流行」の世界だったのではないでしょうか。
 
 また、森村芭蕉は、松尾芭蕉の風雅の究極について、

 「時代の最先端のなかにある(流行)において、不朽の価値を悟ることである」

とも指摘されています。

 現代において、これは、どのような意味を有しているのか、それを探っているうちに、私においては、2008年以来の「マイクロバブル博士の『マイクロバブルの旅』」の渦中にあることに気づきました。

 「この旅のなかに、不変のもの、時代とともに動くもの、そしてそのなかに不朽の価値を悟ることが、存在しているのではないか」

 こう考えるようになりました。

 「そうであれば、この旅をますます続けて行くことが重要ではないか!」

 そのために、このシリーズを開始しよう、前記事においても同じことを記しましたが、これが強い動機になりました。

 さて、光マイクロバブルは、水と空気という物質から生み出されるものです。

 この両物質は、どこにでもある、究極の「ありふれた物質」であり、不変の物質です。

 私たちは、このありふれた物質が、いつでも、どこでも手に入る、使用することができるので、その素晴らしさに気づかないことが多いのです。

 しかし、生物にとっては、この水と空気はなくてはならない、そして、共に生存できる物質であり、これらを「生物適応物質」といいます。

 長い地球上の歴史において、生物が、慣れ親しんで共に生きてきた物質、それが水と空気なのです。

 ヒトは、その生物適応物質としての水と空気を使用して、たくさんの利用を行い、そこの富を生み出してきました。

 その利用と富は、不変のものであり、「不易」といってもよいものです。

 しかし、その不易の物質を利用しながら、その方法は、時代とともに動いてきて、そこに不朽の価値を生み出すことをめざす試みがいくつもなされるようになりました。

 「その典型的なモデルとしてきたのが、光マイクロバブルではないか?」

 すなわち、ありふれた不変の物質を使用しながらも、そこに不朽の科学的、技術的不朽の価値を見出すことができるのであれば、それはすばらしいことではないか。

 こう、悟ることに接近していったのです。

 両芭蕉とともに奥の細道をたどりながら、このような考えが、むくむくと浮上してきました。

 たしかに、光マイクロバブルは、時代と共に動いてきた結果として誕生し、そこに不朽の価値を見出していくという指向において探究されてきました。

 次回は、その探究に具体的に分け入ることにしましょう(つづく)。

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   光マイクロバブルフォームで洗浄中のワンちゃん(ナノプラネット研究所提供)