自信形成問題(3)

 高専生の「『即』戦力」をどのように養成するのか、これが非常に重要な問題といえます。

 それは、卒業研究や専攻科生に特別研究において主舞台が形成されます。

 その具体的な内容に関しては、それがそのまま企業に就職して活かされることは滅多にありません。

 したがって、それらの研究の具体的内容や知識が役立つのではありません。

 それでは、何が「『即』戦力」に役立つのかに関しては、それに取り組んだ動機や姿勢が優れていたのか、どうか、が非常に重要な問題として浮上してきます。

 すなわち、「『即』戦力」の養成問題は、高専生を教育する高専教員に直結する問題なのです。

 その際、高専教員が、最先端の未知の課題の究明に取り組んでおれば、その動機と姿勢を高専生は、高専教員のその姿を学ぶことによって、「『即』戦力」を身につけることができるようになる可能性が初めて生まれてくるのです。

 逆に、高専教員が、ありふれた古い既知の問題を研究しているのであれば、その味気ない、後ろ向きの姿勢を高専生が学ぶことになります。

 したがって、ここではこ「『即』戦力」は身に付かず、無戦力に終わることが多いのです。

 その意味で、その「『即』戦力」を身につけて積極的に学ぼうとしている高専生の実践的行為のなかで、かれらの自信形成がなされるようになります。

 かつての高専生と高専教員は、研究に関して大学生や大学教員に対してかなりの劣等観を有するという側面を有しいました。

 この劣等観を優等観に変えていくことが重要であり、ここに非常に重要な核心問題が存在しています。

 とくに、若い高専教員の場合の自信形成因問題とは、何を成したか、何を得たか、という実績や知識よりも、何をめざすのかいう「動機」のなかにあり、その動機を高専生と分かち合って自分のものすることができるかどうかが非常に本質的で重要なことであると思われます。

マイクロバブル技術の研究と教育のなかで実証

 実際に、マイクロバブル技術の研究は、現場における実験的研究を先行させ、その結果を踏まえて、その物理化学的特性を究明し、さらに生物学的作用を探究をめざすという構図で発展していきました。

 これを高専生の視点から眺めれば、その社会実装実験を体験的に学習しながら、それを踏まえて科学的、技術的究明を行うというパターンで発展させられていきました。

 これらは、高専がめざしてきた実践的および創造的技術教育の創造であったということができるでしょう。

 そして、この流れは、これから、さらに強められて探究・開発型教育へと進化していくことでしょう。

 これらの問題は、非常に重要な問題と課題であり、その本質的探究が期待されているように思われます(つづく)。

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コスモス(前庭)