未来は青年のもの
  
 若いころから、この言葉をよく聞いてきました。

 また、映画「若者たち」、そして「青年は荒野をめざす」という歌にも親しみを感じました。

 その私も、「後期高齢者」というへんてこな呼称の仲間入りをしたようで、先日、その認証カードが送られてきました。

 その若いころから約半世紀が過ぎて、時の流れを感じています。

 さて、2008年から始めた本ブログ執筆も、今回で5250回の記念を迎えました。

 この間、論文書きのために、この更新がしばらくできないままでしたが、この数日間において、その改善を行い、いつものブログ更新感覚を取り戻しつつあります。

 私の二刀流は、なかなか大谷選手のようにはいかないようです。

 今回の記念シリーズのテーマとして「未来を切り拓く若者たち」を選ぶことにしました。

 それは、連日のように、大谷翔平選手や藤井聡太竜王のすばらしい、そして、とんでもなく凄い情報が寄せられているからであり、以前から、これらの若者の活躍ぶりが何をもたらしているのかをじっくり考えてみたいと思っていました。

 どうやら、この記念シリーズを迎えて、その時期がやってきたのではないか、と思いました。

大谷翔平論(1)

 大谷翔平選手は 、前回の試合で4本のホームランを打たれました。

 しかし、打線の援助もあり、なんとか8勝目を勝ち取ったのですが、その試合内容に関しては不満だったようです。

 チームメートによれば、その試合が終わった後に、かれは黙々と一人で練習をしていたそうです。

 ここが並みの選手と違うところであり、名うての強打者ではない、いわば普通の選手に2打席連続で、いとも簡単にホームランを打たれてしまったことに、相当のショックを受けたのでしょう。

 あれだけ、投げて打って活躍した試合の直後に、反省をしながら黙々と練習をしていたことは、さすがだと思いました。

 かれの素晴らしさは、周知のように投げて打つ、それを平然と世界中の人々に見せつけていることにあります。

 並の投手であれば、登板した日から5日後でないと見ることができません。

 ところが、かれの場合は、投げた直後に、あるいは、打った翌日に投げるのですから、観客やテレビ観戦者は、かれの雄姿を途切れることなく視聴できるのです。

 これを「超美味しい食べ物」に例えてみましょう。

 その食べ物の基準として、私は、次のように定義しています。

 「それを食べた直後に、また食べたいという思いが湧いてくるもの」

 食べれば食べるほど、その思いが募ってくるのですから、しばらく、その行為が続くことになります。

 そして、その結果として、「大好物」が新たに生まれるのです。

 大谷翔平選手の場合は、これと同じ現象ではないか?」

 すなわち、打者としてホームランを打てば、素晴らしいと思い、またすぐに観たくなる、そして今度は、投手として三振を取れば、次の打者も三振を取ってほしいと願う、このサイクルが働き始めるのです。

 この「新たな大好物の大谷現象」が、日本とアメリカ、そして世界中に発生しているのです。

大谷の独創的長所

 だれも真似することができない独創的長所、それが大谷選手の「二刀流」なのです。

 これを達成するために、かれは幼いころからひたすら努力を重ねてきました。

 そのことをよく表していたのが、今年のWBC試合におけるテレビコマーシャルでした。

 これに、かれ自身が登場していました。

 そこには、かれが、これまでに喫した三振した数、アウトの数などのトータルが示されていました。

  いずれも、気の遠くなるような数字でした。

 しかし、その数字の後に、かれが、「二刀流は不可能と思ったことはゼロであった」といういうのです。

 まことに、かれの信念をよく表したコマーシャルだと思って感心しました。

 そして、かれは、決勝のアメリカ戦が始まる前のミーティングで次のようにみんなに呼びかけました。

 「今日だけは、あこがれを持つのを止めましょう!」

 かれらが闘う相手にあこがれを抱くと「やばい」と思ったからでしょう。

 そして、その「あこがれ」を投げ捨てた日本選手は、みごとに勝利しました。

 しかし、そう呼びかけた本人自身が、今やアメリカ国民からあこがられているのです。

 今や、アメリカ大リーグの選手たちが、その試合の前に、大谷選手に対して「あこがれるのを止めましょう」といわなければならなくなっているのです。

 そしてメジャーリーグのほとんどの球団が、大谷選手を欲しがるまでに至っています。

 かつて、アメリカの大統領であったルーズベルトは、その戦争に踏み切る前に、馬のことを戦時研究のテーマにあげさせました。

 馬の皮でボールが作製されていますので、戦争で馬が兵站として使用され、そのボールが不足して、アメリカ国民が野球を見ることができなくなると、その不満が厭戦に結びつくことを恐れるようになると思ったからでした。

 それだけ、アメリカ国民にとってベースボールは大切なものだと考えられていたのです。

 それに対して、日本では、T東大教授に対して、戦時研究として「ナビエ・ストークスの式を解け」と命じたそうです。

 これを聞いて、T教授は、日本の敗戦を認識したと仰られていました。

 なぜなら、その式は、未だに解けていない非線形微分方程式だったのです。

 それが、解けると、すべての流体運動の解析が可能になりますので、戦争に有利になることは間違いないことですが、その甘い汁だけを吸おうとしたことに、当時の軍部の浅はかさがあったのです。

 さて、現在の大谷選手は、この馬の皮よりも数段高次元で、凄い迫力を持って、アメリカと日本の国民を変え始めているのです。

 この迫力と本質は、どこにあるのか?

 何をどうしようとしているのか?

 なぜ、目の輝きがすばらしいのか?

 これから、大谷選手は、どうなっていくのか?

など、これらのことを少々考えてみたいと思っています。

 この記事の執筆中に、かれはホームランの37号、38号を放ったようです。

 その前の試合では、初の完封勝利を修めました。

 また、アメリカと日本の国民を変え始めましたね。

 かれは、みごとに荒野をめざしています(つづく)。

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桜(3月30日に撮影)