35年ぶりの再会
  
 家内の友人のSさんが、35年ぶりに訪ねて来られました。

 家内は、彼女を快く迎えるために、家の中の整理と清掃に熱心に取り組んでいました。

 「人が訪ねてくると家のなかがきれいになる」

 これが家内の口癖であり、こんな局面を迎えると、凄い力を発揮するのが、彼女の特徴であり、みるみるうちに各部屋がきれいになっていきました。

 じつは、私の住まいには、3つの書斎があり、その3つ目が整理整頓されないままでした。

 ここに家内が入り、それを見違えるように改善し、約10年来の大仕事が遂行されたのでした。

 それに伴い、私が命じられた作業は、論文別刷りの整理整頓であり、これを昨夕から開始しました。

 なんだそれぐらい、1時間程度で片付くのではないか、と高をくくっていたのですが、さにあらず、今朝も早起きして、その作業に取り掛かりました。

 最初は、それらの論文を整理しながら、当時のことを懐かしむ余裕がありましたが、本日は、その友人が来られる時刻が迫ってきて、ここは思い切って廃棄するしかないという気持ちに切り替わっていきました。

 「よくも、こんなに書いたものだ!」

 そうおもいながらも、それが書けたのは、それだけ活動をしていたからなのでしょうか。

 山と積まれた別刷りに囲まれながら、コツコツと整理していくしかない、と半分諦めながら、手を動かしていきました。

 そして、無事、家内の友人が到着する前に、幾分の余裕をもって、それを終えることができました。

 さて、休憩を兼ねてコーヒーでも淹れて飲もうかとおもって、その準備をしていたら、家内が安岐港の魚の競りから帰ってきました。

 残念なことに、本日は、競りが開かれていなかったそうです。

 こんなこともあろうかと、昨日のうちに、この競りに出かけて魚を購入していたので、この不漁で焦ることはありませんでした。

 昨日は、立派なヒラメがあったそうで、それを2枚購入することができていました。

 その大きい方の一枚を示しておきましょう。

 体長40㎝もある、真に立派な生きていたヒラメでした。

 肉付きもよく、色艶も抜群でした。

 これが卸値で1400円、この値段に3割が上乗せられ、さらに消費税が加わりますので、支払った金額は、2000円弱でした。

 おそらく、この生きたヒラメであれば、大都会の市場では、この2~3倍の値段は軽くしたでしょう。

 これが、豊かで安い国東の海の幸なのです。

 さて、肝心の味の方は、どうだったのか?

 まず、やわらかで舌触りがよく、噛むほどにうま味が沁みだしてきて、特急品のヒラメの味でした。

 もちろん、千葉県から来られた友人は大喜びで、互いに舌鼓を打ち合いました。

 今日は、先日の家内の誕生日のプレゼントとして購入済みだった、取って置きの赤ワインがありましたので、それを出しました。

 さらっとした上品な味のワインでしたので、このヒラメにもよく合っていました。

 加えて、自家製のシュンギク、クレソン、セロリ、サンチュなどの摘みたて生野菜もあって、より豊かなメニューになりました。

 また、お昼に私が作った「高菜の炒め物」も出され、俺もよいワインの肴になりました。

 食後も、そして我が家における光マイクロバブル入浴の後も、35年分を埋める話し合いが楽しくなされていたようでした。

 明日の昼は、その自家製野菜を用いた特別メニューでもてなすことにしようと、家内と打ち合わせを済ませました。

 とびっきり美味しい自家製野菜を用いて、とびっきり旨い料理を作ることにしました。

 もちろん、野菜は自家製ですので無料であり、無農薬で極低肥料栽培の野菜ですから、安全安心、そして格別に美味しいのですから、3拍子が揃っていますね。

 それに、ヒラメの粗を使った汁を添えていただきましょう。

 (つづく)。

  
DSCN9056 (2)
生きていたヒラメ