先日の報告の続きです。
 
 <プログラム>

 10:40~11:10 講演  大成由音 「土壌改善と化成肥料の削減」

 地元の農家との共同研究の進展によって、その土壌改善に関する興味深い結果が報告されました。

 その特徴は、無化成肥料、無農薬栽培にあります。

 この数年間、試行錯誤を繰り返しながら、ハウス内での防虫、野菜の倒壊、成長不足などの問題に遭遇しながらも、それらの克服をどう為し遂げていくかで、さまざまなアイデアが試され、苦労もなされてきました。

 そのなかで、光マイクロバブル技術を高度に適用することによって、それらのブレイクスルーがなされてきました。

 その苦労と研鑽によって、ハウス内土壌のすばらしい改善が遂行されるようになり、今では、これまでの苦労が何であったのかと、見違えるような農作物栽培が可能になってきました。

 本講演においては、その土壌改善の基礎となってきた光マイクロバブル技術の適用に関する核心的作用について詳しい解説がなされました。

 また、昨今の食糧危機の襲来が指摘されるなかで、それよりも先行して、化成肥料危機が起こるのではないかという重要な指摘もなされました。

 周知のように、自然農法とは、化成肥料を使用せず、自然の有機物を用いて農作物を栽培していく方法です。

 今回の事例は、この農法をより未来型に発展させた要素がいくつも認められることから、これからも、この自然農法の発展をめざしていくことが重要であることが指摘されました。

 おそらく、世界中で、下手をすれば常に化成肥料の奪い合いや枯渇が発生し、最後には肥料危機へと向かい、それが長期的な食糧危機へと結びついていく可能性が高まっていくのではないでしょうか。 

 これらについても、活発な議論が展開されました。

 11:10~11:40 講演② 大成博文 「土づくりと光マイクロバブル水(2)」
 
 偶然ですが、上記の講演内容とほぼ同一の「土づくり」についてでしたので、さらに議論が盛り上がりました。

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土と有機物

 このスライドに表されているように、植物は土を土台にして育っていきます。

 周知のように、この土がよくないと、植物は育ちません。

 学校の運動場を見れば、そのことがよく解ります。

 運動場の土は、水はけをよくして、草などの植物が生えないように工夫されいます。

 雨が降れば、そこに溜まった水を吸い込み、乾燥を早めることが望まれています。

 また、そこで走り、競技を行うことから、乾燥後には堅くなって、いわゆるカチン、カチンの状態になることが必要なのです。

 これに対して森のなかの土は、どうでしょうか?

 長い間、落ち葉が積み重ねられ、そこにたくさんの微生物が棲んでいます。

 そこを歩くと、フワフワ、サクサクで、やんわりした土が長い時間の経過のなかで形成されています。

 その土は、雨が降ると「水はけ」がよく、これについては、運動場の土と同じですが、それと根本的に違うのが「水もち」が同時によいことです。

 「水はけ」がよく、「水もち」もよい、そんなことが可能なのでしょうか?

 森のなかの土は、それが可能なことを教えているのです。

 その主役が、有機物と微生物なのです。

 この場合、有機物とは、植物や動物の遺体のことです。

 また、微生物とは、細菌(バクテリア)、菌類(カビ)、藻類、原生動物のことです。

 このなかで圧倒的に多いのが細菌とカビであり、寿命も短いことから、その遺体が土のなかで大量に発生します。

 この微生物たちは、その遺体を餌にして、再び増殖する過程において、植物が必要とする養分を製造していくのです。

 すなわち、微生物が有機物を分解して、その養分を植物が吸収して成長するというサイクルが形成されます。

腐植と団粒構造

 この過程において、有機物が微生物によって分解される中間的な物質が「腐植」と呼ばれる物質であり、よい土づくりは、いかに高品質の「腐植」を作ることができるか、にかかっています。

 土づくりにおいて、もう一つの重要な条件は、水もちと水はけを同時によくする「団粒構造」を実現することにあります。

 これは、土の塊が、鎖状につながってたくさんの空隙を造ることで、水はけをよくし、さらに、そのシルト質の土のなかに粘土も含有させることで、その粘土内に水分を吸収させることによって水もちをよくすることを可能にすることです。

 じつは、何百年もかかって出来上がった森の土には、この団粒構造と共に豊かな腐植が形成されていたのです。

 この土づくりの現場においては、よく「もみがら」が用いられています。

 これは、粘土質の土のなかに入れると「水はけ」がよくなります。

 これも植物の遺体のひとつですが、すぐには分解されないので、植物は、炭素や窒素の養分を吸収することができません。

 この問題を解決しようとした工夫が、もみがらを「燻炭」にして使用する方法です。

 これだと炭素と窒素の成分比が、約8分の1にまで下がり、それだけ窒素成分を吸収しやすくなります。

 土中の窒素の形態は、アンモニア性窒素と硝酸性窒素の2つがあり、植物が吸収できるのは、後者の場合に限られていて、この硝酸性窒素が硝酸になって初めて可能になります。

 すなわち、硝酸という無機態窒素になって初めて植物は、それを体内に吸収することができるのです。

化成肥料の功罪

 この問題を効率よく解決したのが、化成肥料でした。

 これおいては、即座に吸収可能な無機態の窒素が供給されたことから、いかに痩せた土地であっても、そこに化成肥料を施せば、農作物を育てることができたのでした。

 周知のように、世界の総人口は、いまや80億人に達しました。

 この人口の爆発的増加を可能にした重要な要因が、この化成肥料によって瘦せた土地で食物を育てることを可能にしたことだといわれています。

 その意味で、化成肥料は、たしかに人類史において重要な役割を果たしてきました。

 しかし、強欲な人たちにとっては、もっと食物を大量に育てたいと意識が旺盛になり、たくさんの化成肥料を農薬と共に撒き散らしていったことから、土地が逆に痩せて、農作物の弱化、減収、農薬まみれによって安全性が脅かされるという事態に陥ってしまうことになりました。
 
 そこで、農薬や化成肥料を使わないで、植物本来の能力を引き出しながら栽培をしようとする潮流が形成されるようになりました。

 これが、いわゆる「自然農法」です。

 上記の講演においても、自然農法における共同研究の成果が紹介されていましたが、それは、無化成肥料、無農薬栽培に、光マイクロバブルを融合させた、新たな自然農法をめざした試みでした。

 次回は、その自然農法を踏まえて、光マイクロバブルが、どのように融合を果たしてきたのかについて、より深く分け入ることにしましょう(つづく)。

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サンチュとネギ(緑砦館3)