地場産業づくりについて
本日は、大分県の外郭組織で地元中小企業の支援を行っている方の訪問がありました。
どうやら、この方は、県内の企業を訪問して、最近の状況を調べて周るポストにあるようでした。
これまでに650社も訪問しているそうで、県内に中小企業の具合を最も詳しく知っている方のようでした。
また、そのポストの前には、地元国立大学の産官学連携に関するコーディネータを務めておられていたそうで、大学の事情にも詳しいそうでした。
そこで、これから述べる事情もあって、やや刺激的な問題提起も含めた話の切り出しを行いました。
「大分県は、九州で一番の福岡県の存在もあって、なかなか、そこに追いつき追い越すことができていませんね。
この事情は、私がいた山口県も同じでした。
そのブレイクスルーを行うには、新技術による成功事例を爆発的に積み重ねていくしかないとおもって、さまざまな中小企業中央会、産業技術センターとの連携を行ってきました。
そして、その結果でしょうか、最後には、産業技術センターの所長になっていただけないかという真に光栄な提案までしていただくことになりました。
私は、現役の高専教授でしたので、その提案を真面目に検討しましたが、その時に同時に2つの大学のポストの話、そして外国への留学の話も重ねっていて、結局、その所長のポストを辞退して、外国留学の道を選択しました。
そんなこともあって、帰国してからも、地場における産業づくりをどうするか、が私の重要な課題の一つになりました。
どうやって、中小企業を支え、共同研究を発展させるのか、が重要なテーマになりました」
こう語り始めると、この方は、非常に興味を示され、その合間により詳しく質問をなされてきました。
じつは、このような中小企業支援、地場産業づくりに関する話をある程度深く示したことには、次の重要な契機があったからでした。
円安の急激な進行、これは大手企業にとっては麻薬のようなもので(経済学者の野口悠紀雄氏の指摘)、自主的に技術イノベーションを探究せず、産業を興すことよりも、その円安差益で自動的に利益を得る、これによってつい最近までは史上最高の利益がもたらされていました。
しかし、その円安が、さらに進んで、今度は、それが輸入物価の急上昇によって、その大企業でさえも困り始めたという現象が起こり始めました。
この件で、トヨタの社長が、なんとかしてほしいと政府に苦言を呈したこともあったようで、それだけ、円安異常が、大企業まで困った状況に追い込んでいる側面があるようです。
そして、この円安異常は、国内の産業づくりを衰退させ、さらには、その基本となる「ものづくり」の重要性を希薄にしていったのです。
この先進国がアメリカであり、少し前のゼロ金利政策下において、国内で産業を興すよりも、金融で儲けることに明け暮れたために、気の遠くなるような赤字をたれ流し続け、大変な債務国になり下がっていきました。
その溢れんばかりのマネーによって、ビバレッジを膨らませたマネーとその運用による「マネタリズム」が横行する極限社会になっていきました。
ところが、その付けが高度なインフレーションとして現れ、慌てて、これまた異常に金利を上昇させる政策に転換し始めたのです。
当然のことながら、輸入によって、国内の高インフレを止めることはできません。
国内で需要や雇用を生み出す産業が存在しないからであり、金利の上昇が短期間に10倍、20倍になっていくことで、バタバタと企業が倒れていくのではないでしょうか。
金を借りて、その利子を、たとえば10億円払うことになっていた企業が、その10倍の100億円を払わなければならなくなり、そのために、すべてを投げ売らなければならなくなる、このような企業が、それこそ雨後の筍のように発生してくるでしょう。
FRBの姿勢を考慮すると、年内に、その金利が4.5%にまで上がりそうですが、そうなると、それは10倍どころか、その20倍を超えていきそうです。
そうなれば、100億円ではなく、200億円を支払う破目になるわけで、その企業にとってはまさに地獄に直面することになるでしょう。
やや、横道に反れてしまいましたが、そんなことを考えながら、このアメリカの悲惨が、日本でも確実に起こり始めるのではないかと憂慮し、そこから抜け出すには、どうしたらよいのか、そのことを、ひたすら考え続けてきました。
その結論は?
その到達に至るまでに、あらゆる角度から、そして内外経済の変化、さらには、この閉塞状況を切り拓く手段、それらは何か?
これらを実践において(挑戦的な研究開発を含む)、そして理論的究明、さらには、詳細な調査研究と考察、これらを明らかにしていくことが重要でした。
そして、その到達点における結論は、革新的で独創的な新技術を創造的に適用し、それらを豊かに発展させて、その閉塞状況を根本的変えていくことでした。
しかも、それは単なる理論に留まる課題ではなく、実践的に、それを着実に変革していくことが重要であり、それをより一層前に進めていくことで、その確かさを積み重ねていくことが非常に重要なことでした。
いよいよ、その準備を実際に始めました。
その手始めとして、地元の重要な地域資源である植物の栽培技術に関する新技術の開発と、それに基づく地場産業づくりを探究することでした。
次回は、これを基本にした技術開発と産業づくりについて、その訪問者と議論を交わした内容を紹介することにしましょう(つづく)。
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