植物活性とは何か?

 4)植物活性作用

 前記事において示されたミニトマトの発根は、植物活性とは何かを示唆する典型的な現象でした。

 その鮮やかな根の白さ、支根の長さと多さが、それらをみごとに証明していました。

 本来、植物とは、このように環境を整備してあげると、大きく成長を遂げていく生物であり、その手助けを光マイクロバブルが成しているのだとおもいます。

 しかし、その発露が、人の都合によって、抑制され、さらには捻じ曲げられているのです。

 たとえば、このような典型的事例がよくあります。

 農家が高齢化して、若い時ほど身体を動かすことができなくなる、今は、日本中がそうなっています。

 しかし、農作物を造り続けないと食っていけなくなる➡ここは家族で何とかやりくりをしなければならない➡家族経営で凌ぐ➡それでも、寄る年波には勝てない➡がんばって、なんとか農作物を造り続けるしかない➡しかし、それを邪魔するのが害虫たちだ➡これを駆除したい、仕方がないから農薬を使う➡たしかに虫はいなくなるが、今度は農作物のなかから農薬成分を抜き出すことができない➡そのために農作物が不味くなる➡そのせいで価格を安くしないと買ってもらえない、このような悪循環に陥ってしまうのです。

 こうして、その農薬使用量をヨーロッパと比較すると約6倍も多くなっているのです。

 ある果物栽培の農家が、しみじみと仰られていました。

 「農薬なしで栽培はできません!」

 このように追い詰められていくのです。

 農薬が残留している野菜をいつも食べていると、その重要な問題に気づかなくなります。

 不味いという感覚が常態化してしまい、「そんなものだ」とおもい込んでしまうようになります。

 私も、その一人でした。

 しかし、ある時、この重要な問題に気づきました。

 それは、無農薬の野菜を自分で育てて、それが本当に美味しいことを認知した時でした。

 それ以降は、農薬が残留していることによる不味さが何であったかが解るようになり、一切受け付けないようになりました。

 スマトラ沖地震による大津波によって多くの方々が亡くなりましたが、そのなかに日本人の方がおられたそうです。

 その方々は、死体になっても腐敗が遅かったそうです。

 農薬や化学物質が体内に残留して、それを妨げたからではないかといわれていました。

 農薬は、植物にストレスをかけて成長を阻害させます。

 害虫を殺す農薬は、それが寄生している植物本体をも傷めてしまうのです。

 これは、植物を不活化させ、成長を妨げる作用をもたらすのです。

 すなわち、その不活化は植物活性とは正反対の作用のことであり、その活性を導くためには、まず農薬使用からおさらばし、さらに化学肥料の使用も最小限にしていくとが求められるのです。

 そのことをまざまざと教えてくださったのが「農未来」のMさんでした。

 実際に、かれが育てた稲が、かれの方の高さを越えて育っていたのです。

 この時、すぐそばの田んぼにおいて農薬使用の稲を見てみましたが、その背丈は、せいぜい50~60㎝しかなく、この違いに驚愕しました。

 かれが育てた稲は、植物本来の成長力を引き出させた結果だったのです。

 この栽培思想と実践は、光マイクロバブルによる栽培技術と相通じるものがありました。

 そのことをもっと科学的に知りたい、考究したいといって来て、彼ら夫婦のために光マイクロバブルに関する塾を開催したことがありました。

 毎回、かれの実践の結果も含めて楽しく、かつ充実した議論を重ねることができました。

どのようにして植物活性を引き出すのか?

 水と空気だけで、あるいは、その水を溶液にした場合に、その活性をどう誘起させることができるのか?

 これが、実践的に非常に重要な問題となっていきました。

 周知のように、この場合の植物活性とは、植物の根と葉、そして茎の成長促進を、まず実現させることです。

 そのために、それらが育つ環境を整え、光マイクロバブルの物理化学的特性が、如何なく発揮できるようにすることが重要です。

 また、種に関しては、その発芽促進、さらには、種が苗になっていく過程での成長促進も非常に重要な課題といえます。

 これらの研究をさまざまに行ってみて、ある重要な課題を見出すことができました。

 それは、植物をヒトに例えていうと、その生まれたてから赤ん坊として育てる過程が非常に重要であることを理解したことでした。

 同時に、その到達点は、これまで用いてきた光マイクロバブル技術が、非常に未熟な段階に留まっていたことを明らかにしたことでもありました。

 それは、文字通り、初歩的適用、大雑把な実践的適用の域に留まるものだったのです。

 それでは、どうしたらよいのか?

 もっと積極的に、光マイクロバブルによる植物活性をより効果的に、あわよくば、もっと飛躍的に引き出す方法があるのか、この問題に関する模索と探究に明け暮れることになりました。

 そこでは、単なる受容ではなく、もっと積極的に成すことがあるのではないか、これをずっと自問自答していたのでした(つづく)。

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              ちりめんちしゃの発芽(中庭)