トマトだより

 このところ、数日おきに、山陰のKさんによるミニトマト栽培に関するうれしい情報が届いています。

 もともと、このきっかけは、Kさんが、偶々、Oさんの会社の前を通っていたときに挨拶したことにありました。

 かれは、脱サラをして農家の跡取りとなり、ミニトマトを栽培するという一大決心をなされたそうです。

 Oさんは、以前から私どもの技術について強い関心を寄せられていたことから、熱心に、そのことをKさんに奨励されたそうです。

 それが、かれに耳を傾けさせた理由は、光マイクロバブル技術を興味深く感じたこと、それによって抱えていた。いくつかの問題の改善ができないかという思いがあったようでした。

 まず、Oさんから、その植物工場における装置の設置に関する問い合わせがありました。

 それは、植物工場に配置されている淡水のタンク内か、それとも液肥のタンクがよいか、という問題でした。

 この場合、通常は前者において配置するのですが、どうやらKさんのご希望は後者のタンクの設置がよいのではないかと考えられていました。

 その後、これを巡っての議論と検討がなされ、Kさんの希望通りの設置を行うことに落ち着きました。

 その導入が決まった後に、そのKさんとOさんが、(株)ナノプラネット研究所を訪ねて来られ、そこで、さらに光マイクロバブル技術の適用に関する解説がなされました。

 このKさんが、莫大な予算を通じて採用、建設されたミニトマトの植物工場は、「Iメック」と呼ばれるナノサイズの孔を有するフイルムを使用して、トマトにストレスをかけながら糖度を上げようとする栽培方法でした。

 ナノサイズの孔を通過する栄養と水分を制御することでトマトにストレスを与えて糖度を上げることで、いわゆる「甘いトマト」を栽培できるようにする、これが、この栽培方法の最大の眼目とされていました。

 この最大の特徴が、どうフルに生かせるのか?

 ここに小さくない問題があるとおもっていました。

 養液内には、周知のように窒素、リン、カリウムの3成分ほか、おそらく16に近い栄養成分が含有されているのではないでしょうか。

 これらが、上手く、必要な量だけ、そのフイルムの孔を通過することによって効率的なストレスの供与が可能になることが期待されますが、それは果たして十分に可能なことでしょうか。

 まず、栄養成分を含む液体が、その孔を適切に通過していくのかどうか、これが問題になるはずです。

 これに対して、その栄養成分は水に溶けてイオン化しているので、その通過は大丈夫、問題ないという答えが返ってきそうですが、はたして、そうでしょうか?

 その際に、そのフイルムに空いている孔のサイズが問題になりますが、それは明らかにされていないようです。

 ナノサイズの孔は、非常に小さいことから、そこを通過する水分や養液の量をある程度制御することは可能でしょう。

 しかし、問題は、それが、どの程度可能で、いつまでも有効的に機能を発揮し続けるのか、ということにあります。

 養液中には、大量のナノサイズの微粒子(ゴミ)が存在し、たとえ窒素等がイオン化しているとしても、それに負電位の懸濁粒子が付着し、そのナノサイズの孔を塞ぐ、あるいは、その孔を通過する養液の量を少なくしてしまう恐れがあります。

 また、この負の懸濁粒子は、有機物系の正電位を有するゴミとも付着しやすく、そのナノサイズの孔を目詰まりさせてしまう可能性もあります。

 一方で根が成長してくると、そのフィルムの孔に根が入り込んで、その孔を破ってしまうこともあり、これではストレスを与えることができなくなります。

 これらの問題をどう解決していくか、それが現場の知恵と工夫の出し処といえますので、それらのブレイクスルーが、重要な問題になっていたのではないかとおもわれます。

大玉トマト7月14日定植8月9日時点
トマトの苗木の様子(Kさん提供)

 光マイクロバブル養液水の作用効果

 この作用効果については、次の5つが考えられます。

 1)分散効果

 2)負電位効果

 3)高浸透性効果

 4)植物活性効果

 5)栄養付加効果

 次回は、これらの作用効果について詳しく分け入ることにしましょう(つづく)。