夜鍋

 昨夜は、プランターに残っていた今年最後のリーフレタスの苗が、ボールのなかに残ったままでしたので、それが気になって夜鍋の根洗いと移植(緑砦館1のAレーン)を行いました。

 これですっきりした気分になりましたので、Aレーンの苗たちに光マイクロバブルをたっぷり発生させてあげようと思い、しばらくの間、その稼働を続けてやりました。

 きっと、喜んだことでしょう。

 さて、今号は記念の200回を迎えることになりました。

 今調べてみると、このシリーズは、かなり前から継続されていました。

 1)一番最初の「緑砦館物語シリーズ」:140回

 2)2番目は、「3000回記念シリーズ」として「緑砦館物語」2017.10.30~2018.5.8で34回

 3)3番目は、「緑砦館物語Ⅱ」2018.6.7~2020.2.9で41回

 そして、その次の42回からは「緑砦館物語」と改題して、その連載が今日に至っています。

 これらを合計すると、この一連のシリーズは374回を終えたことになります。

 おそらく、自分で野菜栽培を始めたのは、2012年に、こちら国東に来てからですので、足掛け10年を経たことにもなります。

 おかげさまで、光マイクロバブル水耕栽培も日々進歩し、洗練されてきて、今日を迎えています。

 この間、開発してきたハウスと装置は、次の通りです。

 ①緑砦館(GFH)1:40㎡、Aレーン(水路5)、Bレーン(水路7)、A水路、B水路

 ②緑砦館(GFH)2:6.4㎡、A~C水路

 ➂緑砦館(GFH)3:6.4㎡、A~C水路

 ④緑砦水槽(GFO)1:0.24㎡(深水深)、移動台車型

 ⑤緑歳水槽(GFO)2~4:0.24㎡(浅水深)、移動台車型

 これらが、緑砦館における装置の全容です。

 これだけの装置を問題なく稼働、維持させるのは、結構な気配りと点検力が必要であり、どこかで非正常なことが、しばしば起こってしまいます。

 たとえば、最近において「おかしいなぁー」と思っていたことは、緑砦館3のC水路の水位がすぐに低下してしまうことでした。

ーーー おかしいな、水の蒸発にしては水位の下がり方が急すぎる、どうしたのであろうか?

 こう思いながら、数日が過ぎていました。

 そしたら、先ほど緑砦館3に入ってみると水が落ちる甲高い音が発生していました。

 ポンプを停止させても、その音は止みませんでした。

 耳を澄ませて、音源に近づいてみると、それは水路から水が落下した雫がアルミフレームに当たる際に発生した音でした。

 緑藻が厚く形成され、それが水面から水路の外にまではみ出し、丁度サイホン現象によって中の水を外に吸い出していたのです。

ーーー なるほど、そうだったのか!これが水が減る原因だった。

 その厚い緑藻の層を除去しましたので、これで頻繁な水供給の問題は解消されました。
  
 初めてのことであり、これぞ実践の知恵といえそうで、また一つよい経験を重ねることができました。

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紫陽花(前庭)


 緑砦館2021-11

緑砦館見取り図

本日のアグリ作業

 1.大葉にらの苗の移植

 プランターにおける大葉にらの苗が育ってきましたので、まずWシリーズの苗から根洗いと移植を始めました。

 大葉にらの場合、葉は1本、根も2、3本がすっと伸びているだけでしたので、根洗いが比較的容易でした。

 まずは、100株(w)を緑砦館1のAレーンに移植しました。

 5株をスポンジに包み込んで1孔に植える方式での移植しました。

 夕方、続いてLシリーズの苗も25株、同じくAレーンの別の場所に移植しました。

 まだ、W、Lシリーズ共に苗が相当数残っていますので、明日の朝に処理したいと思います。

 2.第200回記念を迎えて

 最近は、日報のような記事になっていますが、それだけ、アグリ作業において行ったこと、やるべきことが増えたからでしょうか。

 自然に私の問題意識も、それに牽引されているように思われます。

 それはなぜか?

 せっかくのことですので、この200回の記念日に際して、その作業の持つ意味についてゆっくり考えてみることにしました。

 その第1は、「なぜ、この作業が持続するのか?」という問題です。

 先の15年戦争時には、誰もが菜園を持って食料を確保しようとしていた時代が、1950年代からの高度成長期に入ると、農業が衰退し始め、冬場になると都会で働く「出稼ぎ」が出現するようになりました。

 同時に、農家を継ぐ若者も減少し、農家の高齢化が進行しました。

 たくさんの労力と時間を要する農作物を造るよりは、オートメーションのベルトに載せて電化製品を作る方が速くて効率がよい、農家の若者も、エンジニアになって都会で働くことを夢見たのです。

 当時はやった映画に石原裕次郎主演の『風速40m』がありました。

 かれの役は、建築学科の大学生で、おじさんのビル建築現場で手助けをしていました。

 そのおじさんがビルの現場監督で、それを演じた宇野重吉さんは、そこの工事現場で蝶ネクタイをしていました。

 裕次郎さんも、重吉さんも、その建築現場で働くことを「かっこよく」見せたのだと思います。

 それから約半世紀が過ぎ、メディア状で活躍する主人公は『半沢直樹』になりました。

 農業が衰退し、電気機器を造る産業も日本経済を牽引できなくなり、代わりに出てきたのが「金融」であり、半沢直樹の登場は、その時代の変化を象徴していました。

 しかし、2018年からの新型コロナウイルスの世界規模における拡大と深化、そして2022年2月のウクライナにおける戦争によって、世界はまた大きく変わり始めました(パラダイムシフト)。

 新型コロナウイルス対策として、世界中がゼロ金利政策を断行し、途方もない金余り状態になりました。

 その結果、アメリカでは、世界に先行して高インフレーションが発生しつつあり、それを嫌ってアメリカ国債を断続的に利上げしていく政策が継続しています。

 このインフレーションの特徴は、物価が上昇するが、労働者の賃金も上がるということにありました。

   昔から、アメリカが咳をすれば、日本が風邪をひくといわれてきましたが、先の15年戦争以後は、この風邪がずっと流行してきました。

 そして今もなお、その風邪に加えて腹痛現象も生ずるようになりました。

 アメリカ国債の長期金利利上げ政策に追随できずに、それとは反対のゼロ金利政策を日銀も政府も固持していることから腹痛を起こし、それを利用して海外のヘッジファンドがぼろ儲けをするという障害まで現れているのです。

 さらに、ウクライナ戦争の勃発で、アメリカの軍需産業は特需で莫大に儲ける一方で、その国民は、高インフレーションに苛(さいな)まれるという、深刻な問題が起きています。

 この戦争による農業地帯の破壊、エネルギー供給の激減などによって物価が高騰し、さらに食料品の枯渇が始まっています。

 加えて、先日も紹介したように、地方の農協において肥料が枯渇して、これからの農作物の栽培ができなくなるという深刻な問題に陥っています。

 工業製品を大量に造って、しかも労働者には安い賃金しか支払わず、非正規と正規という二重の労働者層を生み出させ、全体の賃金を抑え込み、さらには円安が円弱になろうとも、今だけ、何もせずに儲ける、モノづくりなど時間も金もかかって大変、そのための設備投資などとんでもない、このようなことが横行しているのです。

 これらに抗しながら、近いうちにやってくるかもしれない食糧危機に備えて、せめて自分と家族、時には隣人にもお裾分けして、野菜食料を確保する、そしてその栽培方法を研究し、その成果を示していく、この基本が、この作業を継続している第一の理由なのです。

 単なる個人的な欲求のためではなく、それを探究していくことで、その成果に普遍的な価値を付与していく、それは、この小さな緑砦館においても可能ではないかと思います。

 そのために、「緑(みどり)の砦(とりで)の館(やかた)」という命名をしたのでした。

 次回は、第二の理由に分け入ってみましょう(つづく)。

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万華鏡(紫陽花、前庭)