海トマト

 私どもが、「海トマト」と称される「塩トマト」に出会ったのは、地元の自治体から紹介されて、その支援を行い始めたことによるものでした。

 「海トマト」とは、海水を組んできて、それを水路に満たしてトマトを栽培することに由来した栽培法であり、海水の塩分を利用することにおいては、「塩トマト」の栽培方法と同一でした。

 この栽培原理は、塩分によってトマトの根にストレスをかけ、その負荷によって糖度を上げることにありました。

 しかし、もともと、トマトは、塩分を嫌いますので、それを含む液体のなかでは根が、あまりよく育たないという弱点を有していました。

 それをどう克服していったか、ここに、この栽培方法における最大のノウハウがありました。

 それは、土耕と水耕の両方を用いたことにありました。

 トマトが苗の段階では、その苗は土のポットに入れられていますので、この段階においては土耕栽培ですから、その苗には少しもストレスの負荷はなく、そのまま育っていきます。

 この過程で、根はすくすくと育っていきますので、根は下部まで伸びていきます。

 そこには、調節された塩分濃度を有する(いわゆる低濃度の海水)海水が入れられていますので、その根は、それに進入していくことを嫌がります。

 それでも、その上部からは、根を成長させるために、伸びることを促してきますので、そこに留まるわけにはいかず、根は下に伸びていきます。

 そこには、低濃度とはいえ、塩分を含む海水が待ち構えていますので、これが大変なストレスになってしまいます。

 水分と栄養を吸収するのは毛細根ですので、水分や栄養は吸収したいが、塩分は嫌だと感じてしまうのです。
 
 このストレスが糖度の増加を生み出し、甘い海トマトの生産に結びついていたのでした。

 さて、この問題は、通常のトマト栽培においても適用可能であり、農薬と栄養付加の問題とよく似ています。

 虫たちは、生きていくために、おいしい若葉をめがけてやってきて、そのエキスを吸い、若葉を食い荒らします。

 せっかく育ててきた農作物が、ダメになってはいけないと農家は、仕方なく農薬を散布します。

 虫を殺す農薬は、その植物を弱らせます。これも、小さくないストレスといえます。

 それでも元気なうちは、農薬による弱化に、何とか打ち勝って成長しようとします。

 ところが、生産量をひたすら増加させようという強欲のせいでしょうか、定められた農薬の散布量の基準を何倍も超えて巻き散らして、今度は、その農作物そのものを弱らせ、枯らせてしまうことに至ることもあります。

 この場合、農薬がストレスになり、それに負けて枯れてしまったという事例です。

 しかし、この枯死に至らないケースであっても、基準に対して何倍もの農薬散布によって、その農作物の出荷が停止されることもあります。

 そのせいで、数年前には近辺における農家のトマトの出荷停止がなされ、小さくない騒動になりました。

 ストレスの与え方

 今一度、「海トマト」の話に戻りましょう。

 この場合、最上部には、空気中に置かれた土のポットがあり、そこから、トマトの根が成長して下に降り、そこから、斜め下により小さなトマトの根が伸びて、塩分濃度が調節された海水のなかを進んでいきます。

 すなわち、土層、空気層、海水層の3つの層のなかを根が伸びていく構造になっていたのでした。

 上の二層においては、土のなかで微生物を育て、そこから伸びた根は、空気中の酸素に触れ、乾燥も行い、そして最下層においては水分と養分を吸収しながら、しかし、塩分のストレスを覚えるというシステムになっていました。

 ここで最大の注意事項は、塩分量を徐々に増やしていくことですが、これを間違うと根を炒め、さらには根腐れを起こさせてしまいます。

 実際に、この方式で栽培していたトマトの根を見た時に、その貧弱さに小さくない問題点を覚えました。

 そして、塩分としてのストレスは、これまで通り与えながらも、光マイクロバブルによっては、その植物活性でより根を成長させることができるのではないかと考えました。

 従来は、塩分をストレスとして与えるが、その分、根も弱ってしまうという、いわば「二律背反」の現象が起きていて、そこからの突破(ブレイクスルー)ができないままだったのです。

二律相乗

 光マイクロバブル技術は、その「二律背反」を「二律相乗作用」に転換させたのでした。

 その成果は、光マイクロバブルを発生させた翌日から現れました。

 最初は、葉っぱの勢いや艶が変わってきたといううれしそうな報告がありました。

 続いて結実にも変化があり、成分においても重要な特徴が認められました(リコピンとビタミンC成分の増加など)。

 こうして、このトマトは、東京の八重洲駅の近くにある専門店において評判の「海トマト」になっていったのでした。

 この二律背反から、二律相乗作用への驚くべきブレイクスルーの課題は、その後も普遍的な特性として、よりふかく、そして、よりおもしろく探究されていくことになりました。

 それでは、前述のKさんの場合は、どうだったのでしょうか?

 次回は、その問題に、より深く分け入ることにしましょう(つづく)。
 
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トマトの桃太郎(緑砦館3)