「抗酸化」

 2つの実験を終えた後に、W先生、私、相棒の三者で、先日、W先生から提起された、

 「これからの医療は、『抗酸化』、『抗糖化』、『抗炎症』の3つが主な課題になります!」
について、かなり突っ込んだ議論を行いました。

 さて、根来秀行著の 『毛細血管が寿命をのばす』 ハーバード大&パリ大医学研究からの最新報告、によれば、「酸化」とは、いわば「さび」のことであり、それに抗う 「抗酸化」は、サビから身を守り、老化を防ぐことと定義されています。

 細胞は、生きて活動するとサビていくそうで、そのサビをもたらす犯人が「フリーラジカル」と呼ばれています。

 このフリーラジカルは400数十種類もあるといわれています。

 このラジカルは、酸化反応を引き起こすものがあり、それには、細胞中のミトコンドリアが関係しているとされています。

 周知のように、ミトコンドリアは、食事から摂取した栄養や呼吸から得た酸素を使ってエネルギーを産生させますが、その過程で細胞や遺伝子を傷つけ、酸化させ、フリーラジカルを発生させます。

 これに対して、それらのフリーラジカルを中和して無害化する抗酸化酵素としてSOD(スーパーオキシドディスムラーゼ)といわれる抗酸化物質があります。

 このSODの生成は、年齢と共に減少していきますので、酸化が促進され、老化が進む、あるいは癌の発生率が高まるともいわれています。

 また、最近、注目されているのが、メラトニンというホルモン物質であり、最も強い抗酸化作用を持っていいます。

 このメラトニンは、朝太陽光を浴びて15時間後に急激に発生しますので、早朝に朝陽を浴びて身体を動かし、夜の11時には就寝することが推奨されています。

 一方で、食事を工夫することで、各種の抗酸化物質を摂取することの大切さが指摘されています。

 ビタミンACEが抗酸化栄養素であり、亜鉛(牡蠣)、ポリフェノール(ワイン)、リコピン(トマト)、アスタキサンチン(エビ、カニ)などの摂取の重要性も指摘されています。


tougarasi20220625-1
                     トウガラシ(たくさん生り始めました)


議論は弾む

 これらをたたき台にして、議論が始まりました。

 その始まりは、「なぜ、『抗酸化』という用語なのか?」に関することでした。

 「『酸化』するということは、先ほどの説明で理解できましたが、それに抗うという意味の『抗酸化』という用語を、なぜ、用いるのでしょうか?」

 「『抗酸化』という用語は、よく聞きます。『世界抗酸化学会』という組織もできていますよ。そのことに疑問を持たれた理由は、何ですか?」

 「それは、酸化に抗う、酸化を防ぐ方法とは何か、それらが重要ということですよね」

 「そうです。その酸化を防ぐために、十分に睡眠をとるようにする、抗酸化物質といわれる食物を食べることなどが、よく指摘されるようになりました。世界抗酸化学会においても、自然の植物由来のサプリメントが推奨されています」

 「それは、非常によいことですね。しかし、私が思っていることは、なぜ、『抗酸化』止まりなのかということです」

 「たしかに、その通りですが、もっと詳しくいうと・・・?」

 「『酸化に抗う』、『酸化を防止する』ということをもっと積極的に受け留め、その概念を発展させていくと『還元する』、あるいは、より『積極的な還元』、ということになるのではないでしょうか?」

 「その通りですよ。もう少し詳しく解説してください!」
 
    「それには、次の2つの方法があると思います。

 その第1は、従来の『抗酸化を実現させる方法』をより発展させることです。

 その代表的な事例は、世界抗酸化学会が推奨している植物由来の抗酸化物質を持続的に開発していくことです。

 この開発は、フランスのパスツール研究所と共同でなされているらしいですね」

 「そうです。世界抗酸化学会の会長は、フランスの抗酸化学会の会長を兼ねられていて、その開発をパスツール研究所と共同で行っています」

 この体験談を踏まえて、何がそうさせているのかについて、かなり突っ込んだ議論がなされました。

 「たしかに、優れた植物由来の抗酸化エキスの開発がなされ、すばらしい作用効果をもたらす商品が出てきていますね。

 私も、それらを試してみましたが、かなりのよい効果が確認できました」

 「そうですか。私も、同じ確認をしています」

 「そうでしょう。先生は、最近特に若顔に変わり、より小顔になっていますよ!」

 こうして、抗酸化植物のエキスの問題について議論が大いに盛り上がりました。

 「第2は、物理化学的に高抗酸化物質を産生させる新技術を開発することです。

 これについては、光マイクロバブル技術が、かなり貢献できる可能性があるのではないでしょうか。

 より具体的には、高酸化物質を物理化学的な反応を生起させる、あるいは、さらに進んで高還元物質を産生させる新技術の可能性を探究することです。

 この可能性が、還元物質、積極的な高還元物質を物理化学的に切り拓いていくのではないでしょうか?」

 「それが可能になると、すばらしいですね!」

 こうして、議論は、どこまでも進展していきました(つづく)。


20220625-kyu-3
花から実へ(キューリ)