肥料がない
朝から雨模様、時々雷も鳴っています。これが鳴り出すと梅雨も後期に入ったシグナルです。
この時期になると毎年どこかで集中豪雨による災害が起こります。
この数十年、しっかりした国土の防災計画を怠ってきた付けが、実際の災害として生み出されています。
今年は、それに加えて、異常に異常を積み重ねた、恐ろしいほどの「物価高騰」が続いています。
近くの農家が、このようなことをいっておられたそうです。
「もう農協からは、肥料を買えなくなりました。
高くてもよいから、肥料だけは確保しておかないと、たちまち、これからの農業ができなくなるので、肥料だけは何としても揃えておきたい」
これが農家の切なる願いです。
「農協の人からは、いつ肥料が入荷するかわからないといわれ、当分の間、入荷の見込みはないようです」
これは深刻です。すでに、肥料が高くて買えないという段階から、「無くて買えない」という最悪の状況に、農家の方々が追い込まれているのです。
この肥料の枯渇が広がっているせいでしょうか。
近くのハウスでは、ハウスにおいていた肥料が盗まれたという話まで出現しています。
これが、近くにある地方の農協の深刻な肥料問題や盗難の話です。
ーーー いよいよ、ここまできたか!
世界の食糧危機の問題が、すでに地方の、この田舎にまで忍び寄ってきていることを改めて認識させられました。
これに関して、群馬大学名誉教授の山田博文さんは、現代日本は、次のよう連鎖の中にあると指摘されています(『経済』、p.80、2022年7月号)。
「円安➡輸入物価高騰➡企業物価高騰➡消費者物価高騰➡国民生活破壊」
農協が取り扱う肥料は、この青字の「企業物価高騰」に該当するでしょう。
しかし、農協の取り扱う肥料の場合には、単に企業が物を仕入れて商品を作る、そして、それを値上げして、次の「消費者物価高騰」の連動するという問題に留まらない側面を有しています。
イチゴ、米、ネギ農家などが、このような恐れを抱いて、みんな困っているのです。
この食糧生産危機は、次の消費者物価高騰を、さらに跳ね上げることになり、挙句の果てには、店頭に農作物が並ばなくなってしまうことにも結び付いていくでしょう。
この深刻な状況に対して、政府の対応は真に鈍く、ほとんど何もしないという「無策」が目立っています。
また、「日銀」に至っては、未だに、これまでの「金融緩和政策」を維持徹底するといって憚らないのですから、アメリカをはじめとする世界の中央銀行が国債の金利を上げ始めても、それとは逆の政策を貫徹させようとしているのですから、円は安くなるどころか、弱くなって国力をますます衰退させているのです。
すでに円は、1ドル136円にまで急騰し、まもなく1ドル140円台に突入しそうな勢いを示していますが、そのような予測を行う専門家も出始めています。
また、日銀が金融緩和政策を固持していることを利用して、日本の株式が始まる直前において、アメリカで日本国債の長期金利が急騰する一瞬を狙って、それを売りまくり、今度は、その株式開始後に金利が下がった状態で反対に国債を買うという方法で、利ザヤを稼ぐという、いわば「日本売り」が横行しています。
この「日本売りの食い物」に対して、日銀は、なすすべ無しという状態のようで、真に情けない姿を曝け出しているのではないでしょうか。
その代表者のクロさんは、「国民が物価高騰を受け入れ始めている」というとんでもない発言が総スカンを浴びて、慌てて取り消しましたが、アベノミクスという、今や明確な「日本衰退政策」を確実に実行したのは、この程度の人物でしかなかったのです。
この人が、一生懸命に尽くそうとしたのは、アベ政治であり、その奥に構えていた今では円安でぼろ儲けしている財界・大企業だったのではないでしょうか。
これから、洪水のように、1万件を超える商品の値上げが押し寄せてきます。
その平均値上げ率は13%(帝国データバンク)と予測されていますが、上記のように特定の商品の枯渇がしてくると、それが商品の高騰をさらに跳ね上げることになるでしょう。
スタグフレーション
不況下で、商品価格が高騰する経済現象は、「スタグフレーション」と呼ばれています。
この物価高騰に、庶民の怒りが集中し始めていて、それが世論調査にも現れてきました。
来月には、それがもっと顕著になり、高を括っていた連中は、相当に慌てて右往左往をするばかりでしょう。
それでは、円安・円弱、食糧危機を伴うスタグフレーションの嵐による壮大なパラダイムシフトのなかで、何を、どうすればよいのでしょうか。
ここは、知恵の出しどころ、工夫のしどころです。
その第一は、来月の参議院選挙で、その無策を正すことです。
庶民いじめも、いいかげんにしろと、私たちの清き一票で、かれらに鉄槌を下すことにしましょう。
第二は、食糧危機がやってくれば、たちまち恐ろしい状況を迎える「食糧自給率37%」という事態を打開していくことです。
そのために、誰もが、食料を育て、摂取していくという基本の大切さを理解し、その改善に取り組むことです。
戦時中は、ほとんどの家族が自家菜園を持っていました。
ロシアでは、今でも、それが推奨、実現されていて、食料危機への対応がなされています。
それを簡単に、そして格安で可能になる新技術の出現も重要でしょう。
第三は、その新技術開発を遂行することによって、日本を「モノづくり立国」として再生させることです。
この日本が得意で、日本人に向いている「モノづくり」の発明や技術が軽視・不要とされ、今や、株を始めとする投資を軸とする「金融資本主義」の世の中になってしまいました。
これでは、これからの日本を支え、未来にわたって大きく発展させることはできません。
民間による発明、民間による新技術開発、民間による「モノづくり立国」、これらが、現在のウルトラ・パラダイムシフトが生み出した必然的な帰結であるように思われます(つづく)。
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