上質から極上へ(2)

 昨年春と秋の二回にわたってセロリの苗をGFHに移植してきました。

 現在は、そのセロリが、GFH1のAおよびBレーン、そしてGFH2のA水路の2か所で栽培されています。

 この最後者のセロリが「極上」水準に到達してきました。

 これまでに味わったことのない上質の味の形成をどう表現したらよいのか、あれこれと思案していましたが、とりあえず、月並みの「極上」というランクを設定することにしました。

 本記事においては、セロリがより上質になっていく過程を詳察し、それが、さらに「極上」に至る過程を2回にわたって紹介することにしましょう。

上質の三段階

 1.並み(水準2)

 市販のセロリの味です。

 茎は黄色く、葉は少しで苦いので、茎だけを料理していただくのが普通です(通常は、葉は食べずに捨てられることが多いようです)。
  
 また、生で食べることは少ないようで、あっても細切りにしてサラダ風にして食べるぐらいでしょうか。

 セロリは、特有の苦みや香りが強く、それを好まない方が意外と多いようです。

 時々、訪問者に食べていただきますが、その大半は、次のように仰られます。

 「セロリは、香りや嫌味が強すぎて嫌いです」、

 「日ごろは、ほとんど食べません」 

 これでは、せっかくセロリを栽培しても、大半の方々が好んで積極的に食べようとはしないようになっているので、そこに、市販セロリの限界があるように思われます。

 2.上質(水準3~5)

 光マイクロバブル水耕栽培で育てたセロリにも、その味において、三段階の区別が可能です。

 その区別は、次の通りです。

 1)低上質(水準3)


 セロリの苗は、農薬を用いて栽培されています。

 親切な苗屋さんは、そのことを表示して販売を行っています。

 その苗を買ったときに、少し味見を必ずしますが、それは、食べるには程遠く、苦み、嫌味が強く、それを噛み続けて飲み込むことはできません。
 
 この苦みと嫌味は、市販のセロリにおいてもやや薄らいではいるものの、同一のものがありますので、農薬成分が、そのまま残っているのではないかと推察しています。

 したがって、光マイクロバブル水耕栽培においては、まず、この苗の農薬成分を、どう排除するのかが重要な課題になります。

 味形成よりも、まずは、農薬成分を抜くことが先なのです。

 この絶妙な離れ業は、苗の光マイクロバブル成長促進によって実現されていきます。

 これは、根の成長、葉脈形成、細胞増殖、光合成促進という植物にとって重要な組成と機能の促進によって徐々に可能になります。

 しかし、それには一定の栽培時間を要しますので、この段階は、それが茎の部分に留まっている状態といえます。

 2)中上質(水準4)
 

 茎の部分の苦みと嫌味は抜け出していますが、葉っぱの方では、それらが残っているのが、前段階の「低上質」でしたので、これでは、セロリ全体の美味化が成し遂げられていませんでした。

 これは、むしろ当然のことで、根から吸い上げられた養分と水分の多くは、茎の葉脈部分に留まりながら、光マイクロバブル対応の葉脈形成をしていたためでははないかと推察しています。

 茎に比べて葉の方には、より細くて多くの葉脈がありますので、それは、送り手にとっては抵抗になるからで、未だ葉っぱの葉脈形成が発達していないことから、その苦みと嫌味が残存したままになっているのではないでしょうか。

 しかし、この時期になると葉っぱの先端において水滴ができていることが目立つようになります。

 根張りの力が強まり、より強く水分と栄養を送り込む能力が向上したのだと思われます。

 これによって、セロリの茎は、よりおいしく、そして、その葉っぱの苦みと嫌味成分が徐々に薄らいでいきます。

 これと同時に、セロリの葉っぱの味において、グルタミンソーダ(「味の素」の味)の味に近い旨味成分が形成されるようになります。

 これが、中程度の上質水準とみなされています。

 3)高上質(水準5)

 上記の中上質水準に到達するのに約1か月を要します。

 それを経て、この段階では、その葉っぱにおいても苦みと嫌味が抜けて、同時に旨味成分が形成される状態に至ります。

 簡単にいえば、光マイクロバブルセロリが、どんどん格別の味を形成させるようになっていきます。

 次回は、これについて、より深く分け入ることにしましょう(つづく)。

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セロリ(GFH2-A)