大晦日の朝

 日本列島は、極寒のなかにあるようで、今朝8時の気温は、マイナス3℃でした。

 いつものように、まず緑砦館(GFH)3に入り、七島イ水路のスイッチをオン、その後ろの光マイクロバブル野菜をしばらく観察しました。

 ここは先日、屋根にある天窓の隙間をテープで塞いだことから、外気よりも温かく、温室効果が幾分発揮されています。

 そのことは、ここに入った際の温かさでよく認知できます。

 さて、今日は大晦日、このハウスでよく育っているグリーンレタスとカスレタスほかを寄せ鍋にしていただくことにしましょう。

   もちろん、GFH2のチンゲンサイ、コマツナ、白菜、MOネギも加えることにします。

 すでに述べてきたように、この野菜作りは、本日と明日の元旦に、厳かに、そして存分にいただくこと目標にしてきましたので、それが実現できることを素直に喜びたいと思います。

 さて、昨日の続きを述べておきましょう。

 緑砦館(GFO)1の再開は、私どもにとっては、かなりの難問でした。

 これを突破していくには、次の方法しかなく、そのことを決意したのは秋になってからでした。

 1)最初に、中庭の建築廃材・資材を片付けるために、新たな資材置き場を建築する。その場所は、GFH3の東側の空間にしました。

 ここを三階構造にして、整理整頓しながら収納していくと中庭の廃材と資材が一挙に片付き、それに加えてGFH1内の雨樋や資材の多くを搬入することができました。

 そして、次の2つの良い効果も生まれました。

 ①夜の強い北風によってGFH3が揺れることで、騒音を発してうるさかったのですが、これがほとんど治まりました。

 この資材置き場の設置で、そこに風が入り込んでくる隙間がなくなり、GFH3の壁や屋根が揺れなくなったからでした。

 ②この資材置き場は壁を介して我が家の寝室と書斎に接しています。

 これまでは、寒風が容赦なく吹き付け、これらの壁を冷やしていたのですが、それが大きく緩和されました。

 それこそ、夜から朝にかけて、しんしんと寒気が伝わってきていたのが、ふしぎなほどにぴたりと無くなっていました。

 そのことは、北側の壁を触ってみればすぐに解りました。

 すなわち、室温とほぼ同じの壁の温度になっていました。

 ここを建築する際には、優れた断熱材を使用していましたので、比較的良い断熱効果が発揮されていたのですが、それに加えて、この資材置き場が、その断熱効果を二重に高める作用をもたらしたのです。

 この2つの作用効果は、真に思いがけないものとなり、なんだか得をした気分になりました。
 
緑砦館-111
 GFH1の改善・再稼働

 GFH1の改善は、まずAとBの水路の整備から開始しました。

 両水路に備え付けのポンプが正常に動いていませんでしたので、その内部とホースの清掃を行うことで修理が可能になりました。

 ここに、合計で300株の苗の移植が可能になりましたので、そこにプランターで育てたコマツナ、ベビーリーフ、チンゲンサイなどを次々に移植していきました。

 また、カスレタスについては、その第一陣をGFH3に、そして第二陣を、このGFH1のA水路に移植しました。

 次は、GFH1のAレーンとBレーンの上蓋の清掃、水路への接着・配備の作業がありました。

 また、これらのレーンに備え付けのポンプも点検し、前者は、そのままの使用が可能となりましたが、後者においては電気系統が完全に故障しており、中古のポンプとの交換を行なうことになりました。

 この両レーンの稼働が可能になったのは秋も深まってきた頃であり、そのころになるとプランターで育てた苗もかなり大きくなってきていましたので、それらをGFH2、3、そして1へと移植し続けました。

 そして最後に残ったのが、GFH3ーC水路において育てていた七島イの収穫、根分け、再移植のアグリ作業でした。

 七島イについては、これまでの8年間の研究開発を通じて、その課題が明確になってきていますので、それらの教訓も活かしながら、本格的な実践的開発研究に入っていくことを決めました。

 その観点から、本格的な寒波が到来する前に、なんとか急いで根分けと移植を終えようと思って作業に専念し、予定よりもかなり早く今月半ばに、それを終えることができました。

 コロナ下における「一歩」

 一旦、その目標を定めると、なかなか大変なことも、そんなに苦労を覚えずに為すことができるのではないでしょうか。

 おそらく、青の洞門を造った禅海和尚や「水滴は岩をも穿つ」といった高野長英らの心境に近いものが、私のも少し生まれてきたのではないかと思われます。

 ところで、この作業をしながら、よく心に浮かんできた言葉は、「真実は細部に宿る」でした。

 七島イの小さな苗づくりの真実のなかには、やがてそこから芽生えた真理が、小さくない地場産業を再生させていくのではないかという夢を育ててきたのではないかと思われます。

 国東半島とその周辺における七島イの最大生産量は500万畳(畳のサイズに換算して)でした。

 これを現在の販売価格で換算すると1500億円になります。

 それは、七島イの高品質性(きれいで丈夫、香りがよい)、歴史性、国宝性、希少性、国際性が優れているからであり、真に豊かな市場性を有しています。

 光マイクロバブル技術を用いて地場産業を再生し、新たな創生を図るのであれば、これほど最適の課題はほかに無いのではないか。

 これが、昨年において、私が到達した結論であり、目標でもありました。

 「千里の道も一歩から」のように、この晩秋から、その一歩の準備を始めました。

 心の命ずるままに、千里の度を始めたことが、苦労を厭わずに作業に没頭させる「粘り」を産み出したのでした。

 このような開拓者精神を醸成させたことは、今年の最大の成果といえます。

 これは、T高専を退官し、国東に来て10年目の「心の定まり」であり、晩年の人生におけるよい目標ができたように思われます。

 来る新たな年には、この第二歩からの道程が始まりますので、その旅は、そこはかとなくゆかいになっていくのではないかと、いまからワクワクしています(つづく)。

tanesiti
七島イの種(GFH3で採取、拡大可視化)