ネギハウス栽培の問題点 

 国東地方では、古くから小ネギの栽培が行われています。

 温暖な気候と水の良さが、その栽培を支える基本条件となっています。

 もともと、国東半島は、両子山を中心とした火山群から流れ出た溶岩が地下層にあり、その上に植生が育って森をなし、その森が多様な生物と水を涵養したことで、今の豊かな農業が営まれるようになりました。

 もともとは稲作でしたが、その多様な農業展開のひとつとして小ネギ栽培が行われるようになったそうで、昔、稲作を行っていた低地にハウスを設置して生産性の高い小ネギ栽培が営まれるようになりました。

 この栽培においては、いくつかの重要な問題がありますが、なかでも、農家が何とか解決したいと願っているのが、小ネギの「倒伏問題」です。

 汗水を流して丁寧に育てた小ネギが、出荷直前になって倒伏することがよくあり、その度に出荷停止となり、収入を失うことになります。

 地元のネギ農家の話によれば、この倒伏は年に4、5回起こるそうで、なんとか、この問題を解決できないか、と少なくない農家のみなさんが困っておられると聞きました。

 そこで、このネギの倒伏が、なぜ起こるのかを尋ねてみました。

 以下は、その要約です。

 ①小ネギの倒伏は、雨や曇った日が数日続いた後に、空が晴れ、太陽光線がハウス内に差し込んできて急激に温度が上がると発生する。

 ②ハウスの一部で倒伏が起こり始めると、それが徐々にハウス全体に広がり、商品性を失ってしまう。

 ③倒伏後も、小ネギは曲がったままで成長するが、これでは、カットネギの材料にしかならない。
 
 ④一度、この倒伏が起こる規模は、百件近くあるネギ農家のハウスの数は、100軒×20ハウスですから、約2000ハウスになりますので、かなり大きなものになります。

 それゆえ、この倒伏現象が発生すると、県の担当者がハウスを調べて周るそうですが、それを解決する有効策は講じられておらず、毎年のように、この倒伏によって農家のみなさんは泣くような目に会っているのです。

 そこで、なぜ、小ネギが倒伏するのか、この問題に分け入ることにしましょう。

 植物は、本来、まっすぐに伸びて成長しようとする性質を持っています。

 小ネギも、そうであり、曲がったものを見たことがありません。

 そのネギが倒れてしまうのですから、そこに重心がずれてしまうという現象が発生しているはずです。

 おそらく、その重心は、ネギの下部の中心軸上にあったはずで、それが、倒伏側に移動して、結果的に倒伏に至るのだと推測できます。

   これは、上部が通常以上に重くなって、どちらかの横側がより重くなることで傾きが起こり始めます。

 こうなっても、下部が、その偏心を持ちこたえることができれば、倒伏に至らないのですが、そうはいかないようです。

 この原因の第1は、根バリがよくないと、すぐに傾きが増加していくことになることです。

 根バリがよくないと、その傾きを防ぐことができないことから、根をしっかり生やさせ、少々の傾きができてもしっかり持ちこたえるようにすることが重要です。

 この小ネギ栽培において、その根バリが十分でない可能性があります。

 その第2は、ハウス内において急激な温度上昇が小ネギにどのような影響を与えて倒伏に至ったかを究明することです。

 この倒伏に至る前には、降雨や曇りが数日間続いていますので、ハウス内は十分すぎるほどの湿潤状態になっています。

 同時に、土耕の土も含水比が増加し、水分で一杯になっています。

 小ネギは、自分を成長させるために、しっかり水分や養分を吸収して、茎や葉の上部に、それらを吸い上げようとします。

 この状態で、ハウス内の気温が急上昇していくことから、しかも、より上部の方でハウス内空気の高温化が始まりますので、ネギの上部ほど、その水分の蒸散が盛んになります。

 より急激な気温の上昇によって、それだけたくさんの蒸散が発生しますので、その根の上部への水分の補給が簡単にできなくなってしまいます。

 この時、小ネギの上中部では、蒸散が盛んになり、小ネギの表面ではより乾燥化が進みます。

 この水分補給が十分になされないようになった小ネギの上中部は、それだけ軽くなりますが、水分が少なくなった分だけ、高温化しやすくなり、それによってより弱化しやすくなるのではないでしょうか。

 一方、中下部では、水分が滞留しすぎて、いわゆる水ぶくれ状態になり、これまた弱ってしまう可能性があります(現場で、この現象を確認する必要がある)。

 また、その下部の土中の水分も増えていますので、土で支えることがより難しくなっている可能性もあります。

 「決め手は根バリ」
 
 これらの個々の仮説については、それぞれ具体的な検証が必要ですが、何といっても、この倒伏を起こさせない決め手は、より根バリを強化することにあるのではないかと思われます。

 これには、より水はけがよくて、同時に水持ちがよい団粒構造の土を養生し、土中の微生物を活性化することで根活力をより増加させることがようになります。

 次回は、この根活力のアップの課題についての考究に分け入ることにしましょう(つづく)。
 

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                                           小ネギ栽培のハウス