モカベストセレクション(2)

 前回の記事の続きです。

 光マイクロバブル水を用いて「モカベストセレクション」というコーヒー淹れたことについて、その評価を含めた考察を行いましょう。

 上質のコーヒー豆を用いて、最高水準に近いコーヒーを淹れるには、その豆の味を十分に引き出す水が重要であり、それが光マイクロバブル水である、これが前回述べた肝に相当する重要部分でした。

 よい水とは、次の3つの特性を有しています。

 ①ピュアな透明感に優れる。

 ②柔らかくて甘みがある

 ③臭みがない
 
 じつは、これらの特性に加えて4つ目があることに言及しておきましょう。

4つめの条件
 
 ④コーヒー成分を上手く抽出できる

 私の場合、コーヒーは、紙のフィルターを用います。

 まずは、コーヒー豆を電動粉砕機に入れて粉にします。

 それを紙フィルター内に入れて、上から温水を少量流して濾します。

 その際、気をつけることは、次の3つです。

 1)細かく粉砕しない(5段階の2に設定し、やや細かい程度)

 2)最初は、少量の光マイクロバブル水を注いで蒸す

 3)薄くならないように、豆の量に応じて適度な光マイクロバブル水を専用注水器で徐々に注ぐ。

 また、光マイクロバブル水の温度は、沸騰前の80℃~90℃に調整する。

 この要領で、たった今、そのモカセレクションを淹れてきました。

 まずは、その味評価を行いましょう。

 このモカベストセレクションのコーヒー味の特徴は、なんといっても酸味にあります。

 一口飲むと、モカ独特の強い酸味が口の中にさっと広がり、しばらくの間、それがじわじわと浸透していくことで、この酸味の具合が徐々に変わっていきます。

 この酸味の変化が、モカ固有の特徴であり、それが時間経過とともに甘味に変わっていくこともモカコーヒーのすばらしさの一つといってもよいでしょう。

 この「酸味の変化」は、他のコーヒー豆にはないもので、モカが長い間多くの日本人に好まれる一つの原因になっているのではないかと思われます。

 さて、問題は、この微妙な酸味の変化を、その抽出水が上手く引き出すのか、どうかにあります。

 いくら旨い水であっても、そのコーヒー独特の味を上手く引き出すことができなければ、上質の格別のコーヒーを淹れることはできません。

 名水だからといって、それを用いておいしいコーヒーを無条件に作ることはできないのです。

 それでは、その抽出能力が高い水とは、どのような水のなのでしょうか?

 ここで、この問題を考察する際に、非常に参考になることを示しておきましょう。

 周知のように、多くの飲料メーカーが、コーヒーを缶やボトルに詰めて販売しています。

 当然のことながら、いかにしておいしいコーヒーを販売するかを考えていますので、それが売れ行きに直結していきます。

 しかし、ここでもう一つ重要なことは、上質の高い豆を購入して淹れますと、当然のことながら経費が嵩むので、それを避けなければならないことです。

 簡単にいえば、経費の掛からない豆、そして少ない豆の量で、いかにおいしいか、そして濃い味のコーヒーにするのか、これがコーヒー商品づくりの要の問題になります。

 そこで、その豆からコーヒー成分を抽出する際に用いているのが、「超臨界」といわれている特別の技術なのです。

 この超臨界とは、閉じられた空間のなかで、水の圧力と温度を高くしていくと、水と気体の性質が同じようになってしまう現象のことです。

 その温度と圧力は、用いる気体によって異なりますが、およそ数百度、数百気圧程度と考えていただくとよいでしょう。

 この温度圧力場では、液体が気体のように拡散しやすくなりますので、あるいは、液体の密度が気体の密度に近づいていきますので、コーヒー豆のなかにあるコーヒー成分を抽出しやすくなり、より濃くて旨い成分を引き出しやすくなるのです。

 いきなり「超臨界」流体の話になりましたが、それと光マイクロバブル水は、どう関係しているのでしょうか?

 気になりますね。

 次回は、その相互関係についてより深く分け入ることにしましょう(つづく)。

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白い花の上に幼い蜘蛛がいました