再び高砂百合

 研究所の前庭に高砂百合がたくさん咲いています。気になって、その開花数は約140本を超えていました。

 2012年に、山口県の周南市から持ってきた種を植えたものが、徐々に増えて今年は、昨年の2倍以上の開花になったようです。

 この百合が、76年前の敗戦の日に、ある南の島の浜辺を埋め尽くすように咲いていました。

 この花に勇気づけられ、平和の歌を唄い続けようと、その浜に集まった島のみなさんが誓い合ったのだそうです。

 以来、この白い百合の花は、平和の祈りを込めた花になったそうです。

 その敗戦から76年が経過しました。

 この間、この白百合は、毎年咲き続け、たくましく子孫を増やし、西日本を埋め尽くすまでに拡大させてきました。

2021年の敗戦

 一方で、2021年の夏は、新型コロナウイルスの感染爆発が起こるなかで東京オリンピックが強行されました。

 オリンピック選手は、バブルのなかでしっかり防御されているので安全だといいながら、500名以上の関係者の感染数が出現しました。

 そして、東京都では、連日4、5千名もの感染者が発生し、全国的には2万人の大台を越えました。

 そして、不幸にもたくさんの死者数が報じられ、その総数は、とうとう1万5千人を越えました。

 この感染者数115万人、死者数1.5万人越えは、形を変えた「静かな戦争」といってもよいのではないでしょうか。

 人々の命と生活が脅かされ、平和が踏みにじられているという今の事態は、どのようにしてもたらされたのでしょうか?

 そして、その災禍の本質が、敗戦に導かれた「失敗の本質」と、どこが共通なのかなどのことを、敗戦の日における平和のシンボルである白百合を眺めながら、より深く、より鮮やかに考究してみたいと思いました。

 来年は、もっと迫力ある高砂百合の園が創造されていることでしょう(つづく)。
 
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前庭に咲いた高砂百合