光マイクロバブルと光マイクロバブル水の新定義

 光マイクロバブル:「その大量発生時において直径1~65㎛を有し、数十秒間という短期間に収縮しながら、同時に8~9ヘルツで振動して消滅していく過程において化学的に反応する気泡」

 光マイクロバブル水:「光マイクロバブルの化学反応が反映された水」

自己収縮運動と低周波振動

 光マイクロバブルの物理学的特性の第1は、短時間(具体的には約40秒以下)における自己収縮運動を行っていることです。

 第2の特性は、その収縮運動と同時に7~10ヘルツの低周波振動を発生させていることです。

 この収縮と低周波振動を繰り返すと光マイクロバブルのなかで何が起こるのでしょうか?

 ここに重要な問題が潜んでいるように思われます。

 この問題をより解りやすくするために、再びラプラス・ヤングの式の問題を取り上げることにしましょう。

 周知のように、この式は、気泡内の圧力が、その表面張力に比例するという静的関係を表しています。

 そして、この場合、気泡の直径が小さくなると表面張力は増加傾向になりますので、その圧力は、気泡が小さいほど高くなることを示しています。

 常温常圧下で発生させられた気泡は、その直径が小さいと表面張力を大きくしますので、たとえば、直径1㎛の気泡の圧力は、せいぜい数気圧に留まります。

 この微小気泡内の圧力が、せいぜい数気圧に留まる?

 これでは気泡内で起こる変化は非常に小さく、真に緩慢な現象しか生まれないはずです。

 さて、「困った!」と一部の研究者の方々は、「それではダイナミックな変化は起こらないではないか」と思ったにちがいありません。

 かれらが、節度のあある研究者であれば、そこで「なぜでろうか?どうしようか?」と思ったはずですが、そこでぐっと踏みとどまらず、私から見れば「易き」に流れてしまったのではないか、そう思えるのです。

 その「易き」とは、「直径が1㎛では大きすぎる、もっと小さくして考えてみよう!」ということだったようでした。

 周知のように、1㎛の千分の一が1㎚(ナノメートル)です。

 この気泡の単位長さあたりの表面張力は、1㎛の時の約1000倍になります。

 この時、上述の式にしたがえば、その圧力も1000倍になります。

 さらに彼らにとって都合のよいことは、すでに超音波気泡の研究成果が先行的にあり、そこでは、気泡が潰れる瞬間に数千気圧、数千度になるといわれていますので、それをマイクロバブルにも機械的に持ってくることを誘惑されたのでしょう。

 こうして、ある方は、ナノバブルにおいて数千度、数千気圧どころか、太陽のように1万度、1万気圧の温度圧力場が形成されると主張し始めたのでした。

 しかし、ここで困ったことが生まれます。

 すでに述べてきたように、上述の式は、あくまでも静的な関係式ですので、そこには動的な変化については何も説明ができていません。

 そのため、数千度、数千気圧になること、そして、それが起こった後のことは、何も説明できなかったのです。

 とくに、空気中の主要成分である窒素と酸素が、数千気圧、数千度になった暁に、どう変化していくのか、さらには、その気泡の周囲の水とどう反応し合うのか、これらについても皆目見当がつかなかったのではないでしょうか。

 ここは良い機会なので、もう一つの困った問題を指摘しておきましょう。

 それは、ナノバブルが長期間にわたって維持できているという問題です。

 水中にナノバブルが長時間存在するということは、その寿命がそれだけ長いということです。

 バブルは、何らかの方法で発生させられ、最後には消えていくものですので、その生存期間が長いということは、その間にほとんど化学反応を起こさないということを意味しています。

 ところが、一方では、ナノバブルが生み出す温度圧力場は、平気で数千度、数千気圧というのですから、万が一、百歩譲って、それが正しいのであれば、そのナノバブルはたちまち周囲と反応して消えて無くなってしまいます。

 いったい、どちらが正しいのでしょうか?

 ある時、学会においてナノバブルを研究している講演者に、こう尋ねたことがあります。

 「あなたのいうナノバブルは、化学反応を起こすのですか、それとも起こさないのですか?」

 かれは明らかに困った表情を見せて、私の質問には答えず、こういいました。

 「ナノバブルが、あるだけではいけないのですか?」

 可哀そうになって、質問時間を多く費やしてはいけないと思っていましたので、それ以上の詰問はしませんでした。

 しかし、重要な問題は、ナノバブルによって化学反応が起こるのかどうか、それが起こるのであれば、どのような反応なのか、さらには、起こらないならば、何も起こらないことを明らかにすることでした。

 さて、本題に戻りましょう。

 光マイクロバブルの正体の「本質」とは、「それが自己運動として短時間に収縮しながら、同時に低周波数の振動を付随的に発生させることで、その光マイクロバブルのなかを負圧から常圧へ、そして高温高圧化させる」ことにあります。

 さらに、その高温高圧化によって特別の化学反応を生起させ、優れた合成物を産生させるという機能性を有していることも注目されています。

 この光マイクロバブルの正体は、次のマイクロバブル、ナノバブルの現象とは、本質的に異なっています。

 ①だらだらと緩慢に収縮するマイクロバブルにおいては、急激な高温高圧化は生起しない。

 ②長時間において保存されるナノバブルでは、何も化学反応が起きないことを示唆している。

 ③ラプラス・ヤングの式からは、マイクロバブル、ナノバブルの数千度、数千気圧の高温高圧化は説明できない。

 ④光マイクロバブルの高温高圧化現象は、単独の光マイクロバブルの収縮運動のみからは説明できず、その収縮運動と低周波運動の共存によってのみ説明可能である。

 次回は、これらについてより深く分け入ることにしましょう(つづく)。

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オリーブの葉