光マイクロバブルと光マイクロバブル水の新定義

 光マイクロバブル:「その大量発生時において直径1~65㎛を有し、数十秒間という短期間に収縮しながら、同時に8~9ヘルツで振動して消滅していく過程において化学的に反応する気泡」

 光マイクロバブル水:「光マイクロバブルの化学反応が反映された水」

 重要な2つの定義を再度しましました。これが、これかたの執筆の基本になります。

収縮と低周波振動は何をもたらすのか?

 これが、光マイクロバブルの科学的特性に関する最初の本質的な問題です。

 この短時間収縮と低周波振動が同時に生起することによって、光マイクロバブル内では、なんとふしぎなことに「エントロピー減少」現象が起こるのです。

 エントロピーが減少するということは、光マイクロバブル内においてエネルギーが自己増大することを意味しています。

 この世のほとんどの現象は、エネルギー保存則に従っていますので、エントロピーとしては増大していくのです。

 ところが、光マイクロバブルのなかでは、その逆の減少現象が起こります。

 収縮と低周波振動が、それぞれ個別に発生させた場合には、このようなエネルギー増大現象は起こりません。

 前者の場合には、静水中に気泡が一つあるとしましょう。

 中の気体はゆっくり溶けて小さくなっていきますが、その気体のなかではエネルギーが増大することはほどんどおきません。

 それゆえに、負電位も増大せず、また圧力も高まらず、発光もしないことになります。

 ある時、マイクロバブルの発光現象を調べようとしていた研究者がいました。かれがいくら実験を繰り返しても、その発光の様子を画像で撮影することができませんでした。

 それは、ある意味で当然のことであり、もともと発光しないマイクロバブルでいくら撮影としてもできないはずであり、それは幽霊を撮影できないことと同じ問題といえるでしょう。

 また、低周波振動のみではどうでしょうか。

 同じ周波数帯を有する弦を弾いてみて、その弦が熱くなるでしょうか。またその周辺の空気が温かくなるでしょうか。

 それが可能であれば、弦振動ヒーターという画期的な新商品ができあがるでしょう。

 大きな気泡は、その上昇過程において形が不安定になり、低周波に近い振動現象を形成させていると考えてもよいのですが、その中の空気は温まっているでしょうか?

 すなわち、収縮と振動が同時に生起しないかぎり、微小気体のなかの圧力や温度は高くならないのです。

 それでは、どのようにして光マイクロバブル内において高温高圧化が進むのか、これが重要な問題です。

 まず、最初は、常温常圧下で光マイクロバブルを発生させますので、そのような高温高圧場でないことは、すぐに理解していただけるでしょう。

  •  出発は、常温常圧、具体的には、20℃、1気圧のなかで光マイクロバブルが発生します。
  •  ここで理解を進めるために、終着の事態を先に示しましょう。それは、温度500℃、圧力350気圧の世界に至る。
 この温度500℃、圧力350気圧の高温高圧場は、別名「超臨界場」と呼ばれています。
 
 もともと、光マイクロバブルの発生時には常温常圧下に置かれた小さな気泡にすぎなかったものが、数十秒間の収縮運動と低周波振動によって「超臨界場」へと変身していくのです。

 この発見は驚きそのものでしたが、そこには何か神秘的なものを感じました。

 これから、そのメカニズムについて詳しく解説していきますが、その前に、当てずっぽうの「数千度、数千気圧」、あるいは「1万度、1万気圧」という俗説についても適切な論評を行っておきましょう。

 これらの俗説の出どころは、超音波の研究において気泡内が、そのような高温高圧場になっているという見解を、そのまま機械的に、そして安易に引用してきたことにすぎません。

 光マイクロバブル、あるいは、マイクロバブル、そしてナノバブルのことを深く研究することができない研究者にありがちな現象であり、それを臆面もなくマイクロバブルの世界に持ってきてシャーシャーとしているのです。

 その安易で浅はかな引用が、いかに拙くお粗末かを述べておきましょう。

 超音波とは、広辞苑において「超音波は振動数が毎秒2万ヘルツ以上で定常音として耳に感じない音」と記されています。

 2万ヘルツは通常「20K(キロ)ヘルツ」とも呼ばれていて、非常に高周波の音のことです。

 これをもっとわかりやすくいうと、1秒間に2万回振動する音のことであり、音として聞こえないほどの高周波音なのです。

 これを光マイクロバブルと比較しますと、その周波数は、7~10ヘルツですので、両者はまったく違う音の振動ということができます。

 その比較を行えば、光マイクロバブルの周波数は、超音波と比較して1/2000のゆっくりした振動なのです。

 この説明を示せば、超音波の世界で起きていることを、そのままオーム返しにマイクロバブルの世界に持ち込むことは、いかに間違っているか、いかに認識上の誤解を生む危険性があるかは、すぐにお解りになるでしょう。

 ところが、思い込みの激しい一部の学者は、そんなことはお構いなしに、平気で、それらの超音波における研究結果を引用し、それがあたかもマイクロバブルにおいても当てはまるというポーズを示したがるのです。

 そして、それが暴論であればあるほど、残念なことに、大衆のなかには、その暴論を好んで受容する一部の方がおられます。

 このような暴論は、たとえ一部において発せられても、それがまた聞き、間接的な表面的学習の段階になると、厚かましくも独り歩きするようになり、偽イデオロギー化していくのです。

 冷静に考えて見れば、すぐに解ることですが、たとえばマイクロバブルのなかが数千度、数千気圧、あるいは1万度、1万気圧になれば、そのシャワー水や風呂において、すぐに火傷をして大変な疾患を生み出すでしょう。

 ここに騙されやすい、偽科学に翻弄されやすい日本字的特質があることを指摘せざるをえません。

 この問題は、別の記念シリーズにおいて解説してきたことですが、そのことを含めて、次回は、さらに、この収縮と振動問題により深く分け入ることにしましょう(つづく)。

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ミニバラ(㈱ナノプラネットの前庭で)